小説 | ナノ


「……………やば。」

ある日の朝、いつものように起きてメールを確認すると、こんな内容のメールが届いていた。

[これはどういうことか説明して。いつもの時間にいつものカフェで。]

送付されていた画像を開けば、俺と女の子がキスをしている写真、いわゆるキスプリだった。しかし、メール主とは違う女の子。

簡単に説明すると、浮気がばれた。

「やや、やば、やばい、やばいっ。」

俺はメールを見るやいなや身支度を整え、必要最低限の生活用品をスポーツバッグにまとめて家を出た。小さなアパートに一人暮らしをしているので親とかそういう問題はない。

しばらくさようならマイホーム。緊急事態につき避難を開始する。

俺はタクシーを止めて乗り込み、若干早口で行き先を告げた。

「桜香学園までお願いします。」

桜香学園。それが俺が所属している学校だった。所属しているだけでまともに通っているわけではない。

タクシーの運転手にそう告げると運転手は少し戸惑った後に小さく返事をした。

桜香学園はここから車で5時間かかる場所にあるのだ。街から遠く離れ、山奥にある全寮制の学校で、タクシー代もかなり高くなる。自宅にいられなくなった今、学園の寮に避難すべく、3ヶ月ぶりの登校をしようというわけだ。



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