小説 | ナノ
そんなこんなでお目当てのショップにたどり着き、アヤは可愛いー、可愛いー、とはしゃいで店内の服を物色している。こういう時の女の子ってすごく可愛いんだけど俺を放置するからどうすれば良いのかわからず、困る。
結局アヤの買い物は1時間に渡り、何もしていないはずなのに何故か疲れた。満足そうにしているアヤは可愛いから良しとするけど。
「お腹空いた。」
アヤの一言で俺達は昼食をとることにした。近くのファミリーレストランに入り、またもやアヤの世間話を聞かされながら食事を終わらせた。
その後、カラオケに行きたいと言い出したアヤに着いて行き、比較的安いカラオケ店に向かっていると、突然後ろから肩を掴まれた。
「ぅおっ!」
驚いて後ろを顔だけで振り向けば、そこにはよく見知ったイケてる顔があった。何故。そいつの顔を認識した俺は息をするのも忘れて凝視してしまった。
「こんなところで油売ってんじゃねぇよ、桐矢。」
心底面倒くさそうに言う圧倒的イケメン。まさかの我らが桜香学園生徒会長に遭遇したことでテンションは急降下。無意識のうちに睨みつけていた。
「れ、蓮、この人誰?めっちゃかっこいい!」
横目で見たアヤはほんのり顔を赤く染め、目をきらきらさせながら俺に聞く。むかつく。俺の女の子なのに会長に取られそうだ。
「……こんな奴知らない。」
むかついたから幼稚な嘘をついてしまう。そりゃあ格好良いけどさ、一緒にいる俺よりも明らかに反応が良いとかむかつく。もじゃ男が俺に構う時の取り巻きの気持ちが少しわかった気がした。
「先輩に向かってそんな口きくなよ。」
俺の思いを汲み取ったのか、にやりと意地悪そうに笑う会長。俺はただただむかつくだけのに、アヤはそんな笑顔でも見惚れている。
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