小説 | ナノ


少しばかり待っていると呼び出した女の子がぱたぱたと小走りして来た。

「ごめん、蓮。待った?」
「いや、全然。」

ふわふわした長い茶髪が揺れ、露出が多い白のひらひらしたノースリーブに薄い黄色のミニスカートから白い手足が伸びる。今流行しているナチュラルメークで彩られた顔は相変わらず可愛い。名前はアヤ。俺がこの夏にナンパして始まり、何回か遊んだ女の子だ。

「アヤ、可愛いね。今日はどうする?」
「呼び出したくせにプラン考えてないんだ。」

俺の満面の笑顔での口説きをスルーしたアヤは苦笑して言った。俺が自分でプランを考えないのはいつものこと。だって女の子の好きなところに連れて行ってあげたいじゃん。

数分話し合って、アヤが服を買いたいということで、先週オープンしたばかりの新しいショップに行くことになった。そのショップは駅から少し離れているようで、15分ほど歩くようだが、そんな時間もアヤと話していればすぐ着くだろう。

「それでさぁ、その先輩の彼氏がうちのこと口説いて来た時は参ったよー。」
「まぁ、アヤ可愛いからねー。」
「しかも先輩が逆恨みしてくるし。すれ違う時めっちゃ睨んでくるの。」
「怖。先輩こっわ。」
「うちは悪くないのにね。」

アヤの世間話に笑いながら相づちを打っていく。アヤはここの近くの女子校の高校2年生で、その学校は割と色んな事件が起きるらしい。その学校で起きたことをよく愚痴られたりする。俺の学校も結構変わってるけど話したくはない。ホモ校のことなんか笑えないだろう。絶対しらける。



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