dolce text | ナノ



お前に揺るがされる憎悪



*円堂←風丸の一方通行
*風丸が病んでる(雷門離脱後、DE戦前)
*風丸独白文、短い














お前の隣に居たかった
お前の隣に並んで走りたかった
お前の隣で共に戦っていたかった

でもその為には『強さ』が必要だった


『強さ』を持っているお前はどんどん先へ行ってしまって、焦れば焦る程、もがけばもがく程、余計にその距離は開いていった。追いつこうとどんなに頑張っても追いつけない。微かな希望が見えたと思ったら、俺の目の前に立ち塞がるやつらがいる。
それに気付かずに走り続け、戦い続けるお前に俺は憧れさえ感じていた。

そしていつしか俺は、お前の『強さ』を羨ましく思い、同時に嫉んだ。

追いかけても追いかけても遠く小さくなるお前の背中に、倒しても倒しても目の前に立ち塞がるやつらに、もはや微かな希望を見出だせなかった。
ゴールの見えない戦いに、強いお前に、ある種の恐怖と己の限界を見た。
そこからはもうただひたすら息苦しかった。



だからそこに『強さ』があると知った時、取り憑かれたようにそれを望んだ。周りなど全く見えなかった。己の最も欲す物が目の前に現れたのだから。
一刻も早くこの苦しみから解放されたかった。
自ら心を闇へ鎖して、その苦しみはやがて逆恨みへ変わっていった。そんな自分がどこか嫌で不安で、でも自信に満ちていた。そしてもう自分で制御することが出来ないまでに、憎悪の感情は膨れ上がっていった。
もう自分にはこれしかないと信じて。それが例えどんな深い闇だと知っていても、お前にこの苦しみを解って欲しいから、お前に俺の味わった絶望を知らしめたいから、俺は力を欲した。


今度はお前を追い抜いて、前に立ち塞がって、
そして…

今度は正面で、共に戦おう

俺が味わった絶望を円堂、お前にも味わわせてやるよ




(もう、俺の心は何も感じない)



(だから、お前が何を言っても無駄だ)



そうやって自分を正当化する事で、こうしてお前に立ち塞がれるのかもな…
それが詐りの強さでも


でも、お前に名前を呼ばれると胸の内に何かあたたかいものが流れてきそうで
一度闇へ鎖した心はそれに恐怖を感じながら拒んだ
ただただ怖いと





お前を想い過ぎて、どうにかなってしまったようだ











end









*****

初めて書いた円風が闇丸さんになるとは思ってもいませんでした。でもとても楽しく書けました。ヤンデレな風丸さん好きです。病んでおかしくなっちゃうのをキャプが正せばいいと思います←
憧れて羨ましくて、それができない自分に苛立って、やがてそれが円堂へと向いたのがダークエンペラーです。それでもやっぱりお互い想い合ってる。だからこそぶつかっていく友情というか、愛情というか、もう…たまりません←
今回はDE戦前を書いたつもりなので、和解後書きたいです!!


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