dolce text | ナノ
ヒトツになりたい
*R-15くらい(若干性的表現有)
想って、惹かれて、絡めて、口付けして、愛して、ひとつになって、溶け合って。 全てが正反対で、全てが対だった。だから第一印象は最悪、誰がこいつと仲良くするものかと互いに毒づき合っていた。 それなのに、今はこんなにも愛おしくて愛したくて独り占めしたくて誰にも触れさせたくなくて、一生このままでいたい。
俺の前で横たわるガゼルは、情事後独特の気怠さと恍惚を表情に表していて、それはもう何に例えても表現不可能なくらい愛おしさが込み上げてきて、とても綺麗だった。 ほのかに上気させた頬を右手でそっと触れて、艶めくその表面をそっと撫でた。さすればふっと微笑みかけられ、口を開いた。
「変な顔になっているぞ」 「いんだよ…」
自分でも解っている。ガゼルのその表情に酔いしれて顔が薄ら笑いを隠せていない事を。
頬を撫でている右手を相手の肩甲骨辺りに回して、下半身のぬめりとした汚れを気に留めずにその細い身体をぎゅ、と引き寄せる。足も絡ませて、そのぬめった感触が太腿あたりに触れた。萎んだ自身が当たるのも気にせず、深く深く抱きしめる。
俺達は対。 炎と氷。 熱いと冷たい。 熱情と冷徹。
どんなに身体を繋げ合わせても、溶け合って一固体になれない。 それでも求め合う。互いの心の奥底深くに存在する憂いを埋める為に。
俺の胸に顔を埋めたガゼルに名前を呼ばれて、ぽつりと聞こえてきた呟き。 「何で私達、ひとつになっても『ヒトツ』になれないんだろうな」 「わかんねぇ…でも、さ…」
言いかけて、口篭る。今更羞恥の心が一瞬顔を覗かせた。
ふわふわとした前髪をそっと捲くり上げて、そこにリップ音を立ててキスをひとつ落とした。すると、擦り寄って来たガゼルは俺の頬に触れるだけの口付けを沢山降らせて。
「もう一度、試してみるか?」 「…全く君は、」
先程から触れ合い、擦れ合う互いの性器は微かに熱を帯び始めていて、それをガゼルも感じ取ったみたいだ。
ならば、とまたガゼルを組み敷いた体勢になって、耳許に口を近づけてそっと囁いた。
「俺、今、すげー幸せ…かも」
咄嗟に両腕で顔を隠したそいつの耳は、口に含みたいくらいきとても美しい羞恥の赤に染まっていた。
ヒトツになりたい
(一固体になれない、だからこそ俺達は互いを“感じる”んだ)
end
*****
ぬるえろが書きたくなったので。多分えろっちいの上げるのは人生初です。(←) そしてバンガゼでここまで甘いのも初なはず…バンガゼだといつも仲良くケンカしてるというイメージなので。 久々のバンガゼ楽しかったー^^
menu
|
|