dolce text | ナノ



すき、スキ、suki



私と君が顔を突き合わせる。私はまた言わなくていい事を口に出してしまう。昔から沸点が低い君はすぐ声を張り上げて言い返してくる。それに私はまた、言わなくていい事ばかりを言う。
そんな風にはかけらも思ってないのに。そんな事を伝えたいんじゃないのに。本当に伝えたい事は喉の奥からなかなか出てこなくて、気がつけば君を怒らせるような事ばかりが口から出てくる。毎回そうだ。自分はなんて素直じゃないんだ、と後悔しても遅い。既に君は私を嫌っているだろう。だって、いつも怒らせるような事しか口にしていない奴を、一体誰が嫌いにならないだろうか。それが本心からの言葉じゃなくても、君はそれに気がつく筈はない。私は本心などひとことも発した事がないから。

「お前、どうしてその口からは俺を怒らせる言葉しか出ないんだよ」

聞かれたって答えられる訳がない。答えられたならどんなに気が楽になるだろうか、どんなに心苦しいだろうか、どんなに開放感溢れるだろうか、どんなに不安が募るのだろうか。
だけれどたった二文字の言葉がなかなか口から出ない。
言ってしまえば楽なのに、伝えてしまえば苦しい想いをしないのに。言ってしまったら不安で、伝えてしまったら苦しい。
気付かなければよかったのに、こんな苦しい想いをするなら。君と話さなければ、出会わなければ、君に向く感情で切なくなることなんてなかっただろうに。見馴れた不機嫌そうな君の顔もいいけれど、ボールを蹴っているときの生き生きとした顔もいいけれど、まだ見ぬ君のいろいろな表情を見たい。そんな風に想っている自分に気付いてしまったらもう既に遅くて。
気がつけば目で追っていて、目が合えば嬉しいのに顔を背けて、顔を合わせれば心と裏腹の言葉を口に出して、周りからは性格が正反対だからしょうがないと言われて。正反対だろうが何だろうが私の知ったことじゃない。私の心が勝手に反応しているんだから。

あぁ全くもう、自分に苛々する。たった二文字の言葉も言えないなんて。




(この事全てを忘れてしまいたいくらい、)








すき、スキ、suki...











end









*****

ガゼルはこんな風には思わないですよねキャラ崩壊激しくてすみません…
でも、何とかしてバーンの気を引きたいガゼルはついつい悪口を言ってしまってたり…嫌われてでもいいから気を引きたいなんて思っていればおいしいですよね^^私が←
そしてなんとなーくそんなガゼルを何故だか嫌いになれないバーンとかもいいですよね。
私のガゼルはバーンを想い過ぎな傾向に偏ってるので、今度はバーンにガゼルすきすきをやってもらいたいです。


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