dolce text | ナノ
また、共に
*FFI捏造
『いま、電話しても大丈夫ですか…?』
部活が終わって学校から帰宅してすぐ、携帯を開くとそんなメールが勇気から届いていた。時間はつい15分程前。こんな時間にどうしたのだろうか。本来ならこの時間、あいつはまだサッカーの練習してるはずなんだが…。 そしていつも律儀に挨拶などから書かれていた今までの文面と比べて、焦り…というか、急ぎを感じられた。 まぁとにかく細かい諸々の事は気にせず、メールを返すよりもこっちから電話した方が早いだろうと、今日使ったユニフォームなどを洗濯機に放りながら電話をかけた。 二、三回の呼び出し音のあとすぐに繋がる。
『綱海さん…!』 電話越しの声は、どこか落ち着きがないような、とにかく普段とは少し違っていた。
「よぉ、勇気!急にどうした…?」
『あのですね…フットボールフロンティアって知ってますよね?』
「ああ、確か雷門が優勝したっつー…全国の」 その時自分はまだサーフィン一筋で、サッカーに出会っていない頃だった。雷門キャラバンの一員だった時、時折勇気が熱弁してくれたお陰でだいたいのサッカーの事は解った。
『はい。そのフットボールフロンティア、今度は世界の中学生を対象に大会をやるそうなんですよ!』 少し興奮気味な声に、勇気の嬉しそうな輝かしい笑顔が思い浮かぶ。
「へぇ…!それには誰が出るんだ?やっぱ円堂達か?」
『全国から選抜されるそうなんですが… それが…昨日陽花戸に電話が来たそうで…
俺、選ばれたらしいんです…!』
凄く嬉しそうに話す勇気の声に、自分もすごく嬉しくなる。
「…よかったなあ、勇気!日本代表…?!すげぇじゃねーか!」
本当によかった。勇気のサッカーに対する直向きな想いはすごいことを、練習を付き合った俺が一番よく知っている。だからこそ、自分の事以上に嬉しかった。
「ホントによかったな!でも…なんで俺に?メールでもよかったんじゃねーか?」
『…綱海さんに、…直接一番に知らせたくて…。…大好きな綱海さんに…』
顔を赤くしているであろうと思わせる勇気のまっすぐな想いを受けて、今すぐ会って抱きしめてしまいたいくらい愛おしくなる。
「ありがとな、勇気。頑張れよ!」
『…はい!』
まだ帰宅していないらしく、それじゃあまた連絡します、と忙しそうに電話を切った。 携帯を閉じても、心がじんわりあたたかかった。それは勇気の嬉しそうな声を聞いたからであり、更に吉報も聞けたからである。 だが同時に『日本代表』に勇気が選ばれた事によって、遠い存在になってしまう様に微かに感じた。ただでさえ会えないのに、これからもっと会えなくなってしまうんじゃないか、と。 いつの間にか近しい存在になっていたあいつが、自分から離れて行ってしまいそうな気がして空しくなる。
そうして喜びつつも先に不安を感じていた俺の家に、学校の教頭から電話が来た。何かしでかしたという心あたりがないのだが、俺に代わって欲しいとの教頭の要望で電話に出る。
「あのー…俺、何か悪い事しましたか?」
『いいや、むしろ吉報だ、綱海くん。
君に、中学サッカー会から日本代表のオファーが来たんだ』
教頭の言ってる事が、本当なのか信じられなかった。 「本当…ですか…?!」
『ああ、本当だ。嘘をついてどうする?』
まさか自分も選ばれるなんて…思ってもいなかった。自分とサッカーを出会わせてくれた円堂達と、サッカーに出会えた事で出会えた大事なやつ…勇気とも、またサッカーが出来る。そう思うと嬉しくて仕方がなかった。 教頭に勢いよくお礼を告げて電話の受話器を母に渡し、直ぐに自室に戻って携帯で電話をかける。 これを、一番最初に伝えたいだいすきなあいつに。
「もしもし、勇気?
俺も…選ばれたぜ」
(また、一緒にサッカーができますね) (おう、よろしくな)
end
*****
日本代表おめでとう記念!アニメスタッフさんありがとうございますこの二人を選んでくださって!!しかも発表イラストが隣でしたね^^ もうこれは期待するしかない…!!!!
たちむは顧問の先生に呼び出されて知らされて、まだ陽花戸の皆には言わずに綱海に一番に言った…という感じです。 電話の後に顔赤くなってることを指摘され皆にFF出る事を告げて、何で早く言わねーんだよそんなに好きなやつなら一度連れて来いよ、と陽花戸のみんなに言われればいいです。 綱海もお母さんより早くたちむに電話してると思います。
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