dolce text | ナノ
海よりもきれいな瞳のきみに
*未来パロディ *綱海高3、立向居高1
もうすぐそこまで秋が近づいているというのに日差しが暑く眩しく、どこを見渡しても、太陽が照り付ける日差しを反射してぎらぎらと輝く蒼い海が広がっていた。 ここは沖縄。 彼にはこの気候が日常であり、馴染みあるものなのだった。
サーフィン、やるか?
そんな誘いを泳げないからと断り、そんならと、綺麗な海が見渡せるという場所に自分を置き去りにして、彼はそこの海で愛用しているボードと共に、波に乗っていた。
普通、逢いにきた恋人を置き去りにしますか…?
なんて何だか空しくなりつつも、やっぱり彼のサーフィン姿を見ると許せてしまう。 豪快に水しぶきが頬や身体にかかり、海と遊んでいるという表現が似つかわしいような生き生きとした姿。青く澄み渡った海にピンクのふわふわした髪と日焼けした肌はよく映えて、将に海の似合う男だった。 そんな彼の生き生きしたサーフィン姿に見惚れてしまう自分も、やっぱり好きなんだな、と再自覚させられる。
暫くして海から上がってきた彼は、襟足の髪から水を滴らせてこちらに向かって来た。 「今日はあんまいい波来ねーな」 「残念ですね」 「勇気は嬉しそうだな」 「そんな事ないです」 嘘。本当はすごく嬉しい。海にあなたを取られた気分だったから。でも口には出さない。 横にボードを突き刺して立てて置き、隣に彼は腰を下ろした。 「悪いな、サーフィンに付き合わせちまって。でも1日1回波に乗らねーと調子狂っちまって」 タオルで軽く身体を拭きながらそう言う。 「で、どうする?久々だし、一緒に観光でもするか?」 「オレは…一緒にいられるだけでも嬉しいです」 これは本当の事。もう何度目かの沖縄だから観光はそれなりにしているし、そもそも目的はあなたに逢いに来たのだから。
高校は同じ所がいいと思った。例え一年しか同じでなくても。でも流石に、海を隔てるとなるといろいろと無理があった。 彼は今、高三。進学はせずに働きに出るとこの前聞いた。 中学の頃出会ってから三年間、ずっと遠距離恋愛。中学生の距離にしては、ここと福岡は遠かった。それでももう付き合ってから三年、お互いの所に通いあっていた。
人がたくさんいる所では手も繋げないと、どこか行くわけでもなく、木の影へと少し移動してそこにずっと座っていた。サーフィンはもういいらしい彼は着替えて来ていて、そっと触れ合った自分の右手に彼は左手を重ねて、他愛ない日常の話をした。
ふ と、力強く右手を握られ彼の方を見ると、まっすぐとした真剣な眼差しでこちらを見ている事に気付き、それが合図のように顔を近づけ、目を閉じる。恋人になってもう何度目かのキス、かと思ったら、 「勇気、目開けろ」 そんな言葉に少し拍子抜けしてしまった。 彼いわく、空の青みの奥に深い蒼みのある綺麗な海よりも澄んだ目の色、らしい自分の目をまじまじと見られる。 「また、目の色ですか…?」 「俺の好きな海より綺麗な色してるから、何度見てもすげーなって」 以前も何度も瞳を覗き込まれ、特に最初は戸惑ったりしていた。 「どうしてこの色になったか解りますか?」 「生まれつきじゃないのか?」
「条介さんのサーフィン姿を眺めているうちに、海の色が移ってしまいました、」
なんて、
木影でいきなり、頭の後ろに手を回されぐっと引き寄せられ、そっと唇を重ねられた。それに自分は目を閉じて総てを委ねた。
(そんなにかわいい事言われると、)
(と、……なんですか…?)
(…容赦してやんねーよ)
end
*****
2作目にして未来パロでした。 高校生になってもやっぱり遠距離恋愛だと思います。そしてお互いがお互いの所へ通い合ってればいいですよね。← 海に嫉妬するたちむとか、たちむの目の色が大好きな綱海とか、たちむが大好きな綱海とか、ちゅーが恥ずかしくなって照れ隠しで目の色を覗く為だと言い訳する綱海とか、大好きです←
そんな2人が書けたから満足です。
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