dolce text | ナノ
劣等感
茶会記念文 / 参加者様へ
*緑川が女の子→名前はリュウ *ちっぱいネタ *ヒロトが若干変態です
私のコンプレックス。 女性の特徴であるそれ、上半身の膨らみふたつ。
同い年の子と比べても目に見えて膨らみが低いそれが、私のコンプレックスなのだ。
今日の体育の授業前の更衣室でも、友達はこの話を持ち出す。そして最後に必ず私が話題の中心となるのだ。 小さいから大きくなれと半ば無理やり揉まれ、そして最後には「彼氏に育ててもらえばいいじゃん」とからかう。
本人達は悪気があるわけじゃなく冗談でそう言っているのは分かっているけれど、やはりコンプレックスを指摘されて私の気持ちは急降下。
「何かあったの?リュウ」
帰り道、私の顔を見るなりヒロトは心配そうな面持ちでそう尋ねてきた。
乙女の悩みは複雑なのだ。 頭脳明晰で成績優秀、容姿端麗で文武両道。悩みなんかこれっぽっちもなさそうなヒロトに理解できるものじゃない。
「別に…ヒロトには関係ないもん…」 「そう言われると余計に気になるんだけど…」
教えてくれないの?なんて俯いた顔を覗くヒロトは、反則。
「いいよね、ヒロトは悩みなさそうでさ…」 「悩み?…そりゃ俺にだってあるよ」 「…えっ?」
ぽつりと思わず口から零れた言葉に、ヒロトは切なげにそう答えた。
例えば、と不意に右頬を左手で包まれて俯いた顔を上げられれば、酷く優しい瞳をした彼の顔がすぐそこにいて…
「リュウにこんな膨れ面をさせる原因が分からないとか、リュウがどうしたらいつもの元気を取り戻してくれるか、とかね」
だから、話してくれないかなぁ…?
そうヒロトに問われて、白状しない訳には行かない展開に私は少し涙目になりながら逃げ場を探す。 けれど、抗えない。
「…胸が、」
「む、ね?」 「…皆が小さいっていうから…」
私が体中の熱を顔に集めて放った言葉は、さすがのヒロトも予想外だったのだろう。珍しくきょとんという効果音が似合うような呆然とした顔をする。
「…誰が?」 「クラスの…仲いい子達が…」
そんな私の様子を見たヒロトは突然くすくすと笑い出した。人が真剣に悩んでるって言うのに…だから言いたくなかったのに…。
「ふふっ、大丈夫だよリュウ」 「な、何が!」 「リュウの胸が小さくても…いや、小さいからこそ好きだよ」 「は、…はぁ?」
「それでも大きくしたいなら…育ててあげてもいいし、ね」
今度は妖艶な笑みを浮かべるヒロトに、私は再び顔を赤に染めてしまう。 ヒロトに相談したのが間違いだった!
「変態!セクハラ!ばかヒロト!」
もうヒロトなんか知らない!
ヒロトの手を無理やり振り払って走って帰路を急ぐ私は、今日帰ってインターネットで胸を大きくする方法を調べよう、と本気で思った。
end
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きおり宅「現象a」にて行われた茶会に参加された方のみお持ち帰りOKです。リクエスト『友達にちっぱいちっぱい虐められて最終的にヒロトに若干悪く当たっちゃうリュウちゃん』でした^^ リクエスト通りに言ってないとか気にしたら負け。 楽しい茶会をありがとうございました。主催のきおり、お疲れ様でした!
茶会参加者さまのみお持ち帰り可。
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