dolce text | ナノ
あなたのぬくもりは鎮痛剤
茶会記念文 / 参加者様へ
*緑川が女の子→名前はリュウ *生理ネタ注意
月に一度の、アレ。襲来。 昨夜の腹痛の原因は所謂『女の子の日』というやつのせいだったのか、と思わず溜め息を漏らす。 まぁ食べすぎが原因だと思っていたからそれよりは増しかな、なんて、昨日女のくせに食い意地がはっている事を晴矢に咎められたのを思い出した。
いつもより分厚くなって動きにくい下着、鈍い痛みを伴う下腹部と頭、何となく気だるい身体、女子ってこういう時にすごく損をしている気分になる。 なんかもう、動く気になれない。気持ちまで憂鬱になってしまうアレに、まだ初潮を迎えて3回目の私はまだ慣れずにいた。 ソファに身を預けて、深い溜め息を零す。
すると、赤い髪の彼が自室からリビングへとやってきた。正直、こんな気分の今はあまり会いたくはなかった人物…。
「あれ、リュウ…どうしたの?」
浮かない顔してるよ、と少し厚い本を小脇に抱えて、彼、ヒロトは私の表情を伺いながら私の隣に腰を下ろした。
「べ、つに…何もないよ、」 「嘘はいけないよ、リュウ。俺はお前の表情見れば、何かあった事くらいわかるんだから」 「なんも、ないってば…」
いくら付き合っているとはいえ、むしろ付き合っているからこそ、異性の彼にこのことを言うのに私は躊躇いがあった。 でもそんな私の心を彼は知らずに迫ってくる。心配してくれているのはすごく嬉しいけれど…やっぱり羞恥の方が勝るのだ。
「どうしても嫌だって言うなら、無理に聞かない。でも、俺はリュウが心配で…」
真剣な緑の双眸が私を映す。そこまで真剣になる事でもないのに、ダメかな?と哀しそうな瞳を向けられてしまって。
「…ただ…生理になっただけだよ」
珍しく真剣な表情をしたヒロトが可笑しくて、先程感じていた羞恥なんてものはどこかに消えてしまった。少し笑みを零しながらそう告げれば、彼はほっとしたように口許を綻ばせる。
「リュウも、大人の女性に近づいてるんだね」
頭を優しく撫でられて、耳元で優しいヒロトの声を聞いた。そうか、私、大人に近づいてるんだ。そう考えると、むしろ誇らしい気持ちにさえなってくる。あぁ、なんて単純な私。
「恥ずかしがる事じゃないんだよ、リュウ」 「…うん、ありがとう」 「お腹、痛くない?」 「ちょっと…痛い…」
すると、後ろからそっと包み込むように抱かれて、下腹部を優しくさすってくれる。
「ごめんね、俺、こんな事くらいしかできなくて…」
あたためるといいらしいよ、なんて言うヒロト。どこでそんな事知るんだろうなんて事はこの際置いておいて、優しい抱擁に身を委ねた。
あなたのぬくもりは鎮痛剤
(生理も悪くないな、なんて思ったのは、秘密)
end
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冬姉さん宅「藍が溢れて」にて行われた茶会に参加された方のみお持ち帰りOKです。リクエスト『基緑♀で生理痛のリュウちゃんを抱き締めるヒロトで、幸せっぽく』でした^^ 楽しい茶会をありがとうございました。主催の冬姉さん、お疲れ様でした!
茶会参加者さまのみお持ち帰り可。
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