dolce text | ナノ
それは無防備な君のせい
全く、無防備過ぎるのもどうかと思うんだよね。
俺の隣に横わたり眠っているリュウジは、人の気も知らないで規則正しく寝息をたてながら夢の中であった。恋人になって早一ヶ月。付き合い当初の変に緊張したリュウジは、俺が少し触れるだけでも顔を真っ赤にする程だった。
今こういう恋人の安心しきった可愛いらしい寝顔を見ると、一ヶ月でかなり心の距離が近くなった事を表しているようで嬉しくなる。俺がリュウジの信頼できる存在になった事はすごく嬉しいんだけれど…
恋人が隣でそんなに可愛い顔で寝ていて、何も考えない事は不可能だ。抱きしめたいとか、キスしたいとか、そういう事を考えるのは自然だと思う。
リュウジが何の知識もないからまだ触れるだけのキスしかしてない。俺はそろそろ舌を絡ませる深い口付けとかをしてもいい頃だと思っているんだけど…。流石に寝ている時はどうだろうと思う。俺も一応常識はあるよ、リュウジが大切だからね。
そんな訳で俺は、しばらく心の中で色々な葛藤をしていた。
と、ふいに服の端を掴まれる感覚がして、見ると、隣で寝ているリュウジがどうやら掴んできたようだった。 それだけならまだよかったが、次の瞬間俺はどうしようもない衝動に駆られた。
「…ひろ…と、だいすき…」
起きてるのかと思った程はっきりとした言葉が聞こえたが、またすやすやと寝息をたてているのを見れば寝言だと解る。 寝言でそんな可愛いことを言われて、今までの心の中の理性と本能の葛藤が全て水泡に帰してしまった。
「悪いのは、可愛いのにこんなにも無防備な君だからね」
彼の上に優しく跨がり、そう耳許で囁いて左手で顎を添え、そして噛み付くように唇を重ね、半ば無理矢理こじ開けた口内を舌でなぞってゆく。 そこは、蕩けてしまいそうな程甘く、熔けてしまいそうな程熱い。
そして溺れてしまいそうな程、君が愛おしい。
(俺はちゃんと断ったからね、それに、)
(無防備な君が悪いんだからね)
end
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俗に言う夜這い…?いやいやリュウジが無防備に可愛さ晒してるからいけないんです。そんなリュウジを可愛がるヒロトでした。どこまで行ったかはご想像にお任せいたします。
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