dolce blog | ナノ

TOA(ジェイルク文) / text
2010/12/10 22:18

※テイルズオブジアビスのジェイド×ルーク小説です
※ED後設定で結構がっつり書いてますのでご注意





ランプに小さい光を燈したまま私は、もう外は一面暗闇に包まれた夜更けであると言うのに、机に向かって書物の字をひたすら追っていた。
疲れを感じているのに寝られなかった。否、寝つかないのは自分の意思と精神状態が原因だと言う事には既に気付いているが。しかもその覚めやらぬ興奮のおかげで、その書物の字の羅列を視線でなぞるだけで内容がまともに頭に入ってこない。

そんな静まり返った一個室のドアに、トントン、というノック音がして。
私の所になど訪ねて来る人など安易に予想がつくものだからどうぞと答えれば、そっと、遠慮がちに開いたドア。そしてひょこりと顔を出したのは、
あぁやはり。

「ジェイド、入ってもいいか?」

あの時――約二年前、エルドラントにて握手を交わし、帰って来て欲しいと告げた時――の面影を感じさせるようにどこか幼く、でも確実に成長が伺える凛々しい顔を覗かせ、出会った頃の様に長い鮮やかな緋髪を靡かせ、ルークはそう尋ねて来た。

「えぇ、勿論」

答えれば少し安心した様に部屋に入り、そして静かに扉が閉まる音がした。

「もう寝たかと思ってたから、よかった」
「おや、早々に年寄り扱いですか…酷いですね」
「違うってーの!」

自分の所へ近づいてきたルークの前に私も椅子から立ち上がれば、合わさる視線。思わずくすくすと笑い合ってしまう。
そして再び真っ直ぐ、久々に見るその翡翠色を見据えて。

「ルーク、」
「…ジェイド」

「改めて、お帰りなさい」

肩を引き寄せて抱いて、そう囁いた。見た目通り、やはり二年前よりも身長は伸びているし身体も所々に筋肉がついているようで、抱き心地は少し違ってしまったものの、ふんわりと微かに鼻先を掠める匂いはやはり、彼そのものだった。

「ただいま、ジェイド」

自分の背中を抱き返され、久々に感じるのは人のぬくもり。人を抱く、なんて妻子や家庭を持たないこの歳の私には縁遠い事であるから、そのあたたかさに微かな眩暈さえ覚える程だ。
やはり自覚しているよりも彼に依存していたのは、紛れも無い事実なのだ。



「ティアもナタリアもなかなか離してくれなくて、ガイに助けを呼んだらあいつまで号泣して縋り付いてくるし、アニスはアニスで相変わらずだし、本当に皆変わってなくて驚いた」

彼はベッドに腰掛け、こんな夜まで何をしていたかと尋ねれば、この部屋に来るまでの経緯を楽しそうに話す。

「ジェイドも相変わらずなんだな」
「…何がですか?」
「それ、」

と、机上に置かれた開いたままだった本を指差してそう言う。

「俺がジェイドの部屋来る度に、いかにも難しそうな本読んでたじゃん」
「確かに、そうですね」

あの時は、夜になると不安に陥った表情でやってくる彼を救う方法は何かないものかと、必死になって書物を読み漁っていたっけ。そんな事を思い出して、懐かしい気持ちになる。

「しかしあなたもモテモテですねー、ティアもナタリアも、そしてガイも泣かせて」
「それは、…悪いと思ってるよ」

「でも、これだけは言わせて下さい」
「なんだ?」

ゆっくりそう告げれば、不思議な顔をしつつも次の私の言葉を待つ、彼。

「…私は誰よりも、…あなたの帰りを待っていた。自信を持っていいます」

驚いたように瞬きを二、三回ほどした後にほんのり羞恥の色に染まってゆく頬。だが、照れ隠しのようにルークは笑った。

「…そっか…。待たせて本当に悪かったな」
「えぇ、全くです」

「…ありがとう、ジェイド」


そしてそんな彼の隣へと移動し顔を近づけ、途端に肩を震わせ驚いた様子のルークの顎にそっと手をかけて。
ぎゅうっと目を瞑った彼のその柔らかい唇に、そっと唇を重ねた。





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前ジャンルのジェイルク文でした。突然すみません…!
携帯のフォルダ漁ってたら懐かしくなって勢いで書いてしまいました…!
アビスは私の人生の教科書と言っても過言ではないくらい思い入れのある作品で、今でも本当に大好きです。
何度涙した事か!譜歌聞くだけで涙ぶわああってなる自信あります!

しかし意外と覚えてるものですね…すらすら書けました…!ジェイドさんが凄く依存してるジェイルク好き…!
でもED後、ルークは王位継承者ですからやはりルークは王になる道を選ぶと思うんです。ティアもジェイドも仕方のない事だと無理矢理感情を抑え込んでルークの背中を押すと思うんです。そしてまぁルークの中にアッシュがいる訳ですから(あくまで私の解釈です)、ナタリアと幸せになるんじゃないでしょうか…というED後考察。辛いよ…!

ちなみにテイルズは他に、エターニア、シンフォニア、イノセンス、ヴェスペリア、グレイセスが好きです…!スパルカ推します←

文書いたらすっきりしました。再燃しそうで怖いです。また書き始めたらそっと見守ってやって下さい←




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