「男なんて滅んじまえ!」

木々の間に沈んでく夕陽に向かって大声で叫んだら、隣にいた南雲が「なんだそれはオレにケンカ売ってんのか」とかなんとかほざいたけれどわたしは南雲を男とは見てないので別にケンカ売ってるわけじゃないです。涙を溜めて睨んだら呆れ顔の南雲は「今回は何」ともう何度聞いたかわからない言葉を投げかけてくる。はいはい慣れたんですよねこのパターンに。すいませんねいつもいつも付き合わせちゃってね。

「告白された」
「へえ、また。よかったじゃねえか」
「よくない」
「あっそ」
「ちょっと、ちゃんと聞いてよ」
「聞いてるっつの。どうせあれだろ、わたしのどこが好きなの?って聞いたら顔。って言われたとかそういう」
「…よくおわかりで」
「何度目だと思ってんだよ」

ため息をついたあと、物好きって意外と大量にいるんだな、と呟いた南雲はベンチの背にだらしなくもたれかかる。わたしはそんな(たぶん)友達を一瞥し、キリキリと痛む胃のあたりを押さえる。あーもう。

「男の子ってどうしてみんな表面しか見てないんだろう」
「バーカ、おまえその素の性格知られたらまっいくらいあげるけど?」

ちょうどつかんだポテチをひらひらと南雲の顔の前で振ってやったら、「いらねえよ」となんだか怒ったような声色で言われてちょっとひるむ。なんだよ人の親切心を。ポテチすきなんじゃないのかよ。

「じゃあいいよわたしが食べるから」

ポテチを口に持っていこうとしたら手首をつかまれびっくりして南雲を見る。…え、なんでそんな真剣な顔してんの。ていうか南雲あんた体温たっかいな。

「そうじゃなくて」
「な、なに」
「オレがおまえをすきだって言ったら、どうする?って」

ぱり、と音を立てて、つまんでたポテチが割れて、南雲のズボンに落ちた。「あ」拾おうともう片方の手を伸ばしたら、またもや南雲の手に捕まった。両手とも動かせなくなって、仕方なく南雲を見る。いつもは自信ありげにつり上がってる目が少し伏せられてて、なんだかいろっぽいなあと思った。明らかにそんなこと考えてていい状況じゃないけど。

「…もちろん、断る」

にこり、笑いながら言ったら、南雲は眉をひそめて「だよな」と一言。なんだよそれ、そっちから聞いておいて。

「わたしのこと女の子として見てるなら、絶交するよ」
「おいおい、冗談だって。オレがおまえなんか好きになるわけねーだろ」
「それもそうか」
「だいたいおまえオレと絶交したら友達いなくなんだろ。わかってんのかそこんとこ」
「ん、大丈夫絶交しないから」

明るく笑って見せたら、調子いーよな、と呟きつつも南雲も笑った。その笑顔が作り物だってことくらいすぐにわかった。友達なめんなよ南雲。



(恋なんかするもんか)












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