エリーゼとフォルシウス

「よっ、エリーゼ」
「貴方ねえ…せめて『妃殿下』をつけてくれないかしら。」
「同い年だし、他人がいない時くらいいいじゃん。」
「そーいうの、他人から見ると『私とフェルセン公爵は気の合う関係』みたいに思われんの。不倫とか言われるの気色悪いんで勘弁ね」
「はいはい」
「ただゴシップに変な事書かれるのが嫌なわけよ」
「あー、有名税?王族って大変だね〜。俺貴族でよかったわー」
「ところで何の用?あたし、この前陛下に頂いた宮殿の改装で忙しいのよ」
「プチトリアノンの、改装工事?」
「そ。元はメルキオール王がポンパドゥール夫人…ジェーン様にプレゼントしたのをあたしがもらい受けたのよ。陛下が鍵にデコレーションしてくれてね〜〜嬉しすぎて自慢したいんだけど見る?これこれ」
「(浮かれてんなあ)」
「どーんな気持ちでこの鍵にダイヤつけてくれたんだろう〜って考えるとニヤケんのとまらないのよね〜!フォルシウス聞いてる??」
「聞いてる。ほんと、エリーゼってオーギュスト陛下大好きだよな」
「当たり前でしょー。一目ぼれだもーん。たまーに『しっかりしろよ、男だろー!』って言いたくなるけれど、そこが可愛いって言うかー」
「わーかったわかった。惚気は勘弁してくれ。うぜえ」
「何よ、うぜえって!そう言うならたまにはアンタの惚気聞かせなさいよ!」
「そりゃー無理だわ。俺が惚れているのは手が届かない相手だからさー」
「難儀な恋してんの?お気の毒ねえ」
「(おめーのことだよバーカ!!!)」



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