怜←真前提、身体の関係がある凛真
2013/09/25 18:05



行為のあとの、ぐちゃぐちゃに乱れたベッドの上で、白いシーツに包まったまま「好きな人ができた」と独り言のように口にすると、裸身にデニムを身につけた凛が水を呷り、口元を拭った。驚いたような凛の顔は、すぐにひとを見下した、いやなものに変わる。俺の傍らに歩み寄り、いやな顔のまま口づけてくる。
「誰だ」
「……怜」
隠す必要もないかと思って、素直に思い人を口にすると、凛は深い笑みを浮かべて、耐えきれずに小さく吹き出す。喉を鳴らして笑っている。
「お前みたいなやつが?ノーマルだろ、あいつ。見りゃわかる。少なくともお前や、俺みたいな屑じゃねえ」
かわいそうにな。と言いながら、凛は哄笑を止めなかった。言われなくても分かっていることを、改めて突きつけられても別に、苛立ちはしなかった。身体を重ねた凛だからだろうか。
ひとしきり笑ってしまったあと、凛が不意に黙り込む。俺の頭を抱きしめて、痛いぐらいに胸元へと押し付ける。
「やめとけ。お前傷つくぞ。とっとと忘れちまえ。上手くいかねえよ、そんなの」
「優しいね、凛はいつも優しい」
「馬鹿言うな。おとなしく同じ屑の俺だけにしとけ」
「そう、できたらいいんだけど」
諦めたような俺の言い方に、凛は思い切り眉を顰めた。忌々しげな顔をした。俺の選択を憂いている、凛はなんて優しい人なのだろう。それでも、俺は知ってしまった、から、もう。
「ごめんね、凛。嫌いじゃないよ」
俺にはそれしか、告げることができない。





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