模倣とペルソナ | ナノ

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 夢なのか現実なのか、将又ただの自分勝手な妄想なのか。何もわからないでいた。

 ただひたすら頭の中に浮かび上がるものは、笑顔。どこからともなく、バラバラと写真が落ちていく。全ての写真に、笑顔が写っていた。

 胸糞悪い。じ、と一瞬だけ目を懲らせば、笑顔ではない写真。嬉しくなったのも束の間、笑顔でなくとも、その写真には喜悦が溢れていた。嗚呼、全国優勝したときの。
 勝手に自己完結をして、すぐに写真から視線を逸らす。
 何より胸糞悪くなった理由は、自分の笑顔が気色悪かったから。


模倣とペルソナ


 一時期、心理テストというものに驚くほど心酔していた。自分はそういう人間なのか。と、新しく自分を理解することができたから。
 いつだかに、心理テストを探すためにネットサーフィンをしていたときのこと。今まで見たことの無い心理テストを見つけた。
 個人的に興味をそそられたので、以外とえげつない質問の答えを、近くにあった紙に殴り書きして。結果を見てみれば、なんとまあ。精神異常者という診断だった。おかしいな、至極真面目に回答をしたはずだというのに。なんという事だ。

 改めて考えてみれば、確かに自分は他の人と思考回路が違うよなあとか。他にも色々と思い当たる節はあったのだけれど、それでもまだその結果に不信感を抱いていたので、同じ名目で内容が違うテストを探すことにしたのだった。
 しかし結果が変わることも無く、自分は精神異常者――サイコパス――なのだ、と半ば半信半疑ではあるが、一応認めることにしたのはもう数年前である。

 サイコパスについて調べてみたものの、自分にはそんな殺人衝動なんか無かったし。似て非なるものではあるけれど、若しかしたらソシオパスなんじゃないかとか、当時は色々な考えを巡らした。
 勿論、結局自分はサイコパスなのかそうでないのか。今でも答えは出てこない。
 だから、自分の中での位置付けは、「サイコパス擬き」だった。

 そも、こうして考えていること自体がおかしいのかもしれない。もしかしたらあの心理テストは誰が答えてもそういう結果になるのかもしれないし、もともとネットのものだ。あまり間に受けてはいけないものだろう。けれど、しかし。絶対にそうではないと言いきれるものでもなかった。


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