07
「五月蝿い! 貴様には関係のないことだろう!」
昨日のことについて聞いてみたら、怒鳴られてしまった。そう言われてしまっては何も言い返せない。まあ確かにその通りだし、何よりあまり知られたくないだろう。自尊とまではいかないものの、それなりに許せないところがあるのかもしれない。まあ単純に、泣いたところ見られたら嫌だしな。
でも、蓮巳がファストフード店に行くなんて、珍しかったし、それについては教えてくれても良いと思うんだが。
「まあ、何だ。嫌なことがあったら、相談するのは大事だぞ?」
一応、個人的な相談に乗ったりする位には仲が良い自負がある。一方通行な感情だったら恥ずかしいというか、悲しくなるから口に出したことはないけれど。
おかげで周りの人間からは盛大な勘違いをされてた感じがするけれど。まあ、そうだと信じている。
「いや、嫌なことでは、なかったんだ。」
少しだけ、ほんの少しだけ熱を持ったように聞こえたその台詞は、聞いていて、どこか幸せそうな感情が乗せられていた。まるで、溢れんばかりの幸せに包まれて、僅かながらそれを醸し出しているかのような、そんな喋り方だった。
そう言った目の前の人間を、今まで見たことがない。否、正確には、あんな表情を見たことがない、だ。
……よほどファストフードを食べられることが嬉しかったのか?