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おまけ

 そうか、そうなのか。
 だったらしょうがないな、なんて。逃げるようにも思えるが、そう自分で考える。自分にとっても、相手にとっても。そういった対象を追い抜いて、初めて自分を確立することができると思うのだ。まるで言い訳のように聞こえてしまうかもしれない。けれど、あいつの実力を認めていることも確かなのだから、致し方あるまい。
 にしても、この言葉は

「……思った以上に、恥ずかしいというか、なんというか」

 手の中のものをもう一度見遣る。中身が半分だけ残った袋を見て、そしてその袋にマジックで書かれた文字を見て、「あー……」とだけ呻いた。

 あなたは憧れです。だなんて。


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