ほっぺたに穴が開くぞ☆
今日は練習試合だった。秀徳との。唯我独尊を地で行く緑間を初めとした秀徳との試合はどれも白熱し、そして両校の結び付きをより強くするものだった。のだが。
昼休憩の時間帯に、それは起きた。
「それ以上何か言ったら、口を開かずとも飲み物が飲めるようお前の頬に穴を開けてやろう」
しん。その場を静寂が襲った。目を見開き、口をあんぐりと開けた彼らは、言葉を発した人間を一様に見詰める。そして当の本人はと言えば。
「……あ」
思い出したかのように声を上げ、両頬を押し潰しながら掴んでいた右手を、日向の顔からす、と離した。今の聞いたか? 聞いた聞いた。周りにいた数名がこそこそと話を始める。意識を取り戻したのか、宮地が一歩前へと足を踏み出す。そして、秀徳の生徒ならば良くわかるだろう怒りの笑みを顔に湛えたまま、言葉を発した。
「緑間ァ、土下座」