06
仁王雅治の勝手な自己嫌悪

 鳥のさえずりが聞こえるような聞こえないような。どうも皆さんおはようございます。清々しい朝ですね。

「あははぁ……頭がガンガンするぅ……」

 あれ、俺の方言どんなだったか。やば。
 自然と出てくる欠伸を噛み締める。生理的に出てくる涙がなんかツボに嵌まって一人で笑いを堪えた。

 ようやっと笑いのつぼから抜け出せたかと思えば、耳に馴染みの音が聞こえてきた。ラジオ体操が始まってしまうではないか。まずい。ラジオ体操が始まってから家を出ては遅すぎる。遅刻はまずい。
 そんなことを考えながら家を飛び出て急いで靴を履く。くそう何で毎回靴紐緩めなきゃならんのだ面倒臭い。

「にゃあ」

 急ぐべし、と準備やらなんやらもそこそこに家を飛び出したらこれだ。後ろを見やるとあら可愛い。かわい子ちゃんがいるわ。

「ってそうじゃなか!」

 ついて来てたのかこいつめ。いや可愛いからつい許してしまうのだが。
 この前自販機の下に入り込んでいたコイツ。雨の日でとても衰弱していたため、取り敢えず家に連れ帰ったらそのまま居着いてしまった。猫好きの俺にとってこんなに嬉しいことはない。が、

「駄目じゃ! ついて来んじゃなか!」

 しっしっ、と手で払う仕種をする。それでも愛くるしいぞこいつめ。なんでついて来るんだ可愛いけどさ!

「ああうもう!」

 がしりと鷲掴みにして抱き抱える。くそう喉なんて鳴らしやがって可愛いじゃねぇか。仔猫特有のあの、えっと。あれ。かわいい。

「ち、こく!」

 走れ自分。こんな朝っぱらから、幸村に殺されたくは、ない。


|| / Bkm




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