09
仁王雅治の勝手な自己嫌悪


 俺は、結構後悔していた。

「なー仁王!」

 こいつ、昨日話してから真田のところまだ一回も行っていない。かわりに嫌がらせのように俺のところへ来てる。柳生が、柳生が恋しい。
 柳生分を補給しないと死んでしまう。

「……ブンちゃん、昨日言ったこと忘れたんか?」
「いや、忘れてねぇよ? 忘れる訳ねぇだろい?」
「ですよねー」
「なんで敬語だし」
「気分だし」
「意味わからんし」
「もう授業始まるし」
「おうまじかっ、俺準備してねぇし!」
「どーんまーいじゃー」

 ああ何が起きたんだ丸井ぃ。朝練はなんかテンションおかしかったからジャッカルが物凄い変な顔をしていた。可哀相に。



「真田!」
「…む、」

 昼休みだ。思い切って、真田に声をかけた。早速昨日仁王に教えてもらったことを実践してみようと思う。

「今日の昼飯さ、一緒に食わねぇ?」
「……幸村達を呼んでか?」
「いやいやいや違うって! 俺はお前と食べたいの!」
「……俺か?」
「お前」
「……では、今日は天気も良い。風もあまり吹いていないだろうから屋上で食べるとしよう」
「よっしゃ! じゃあ早く行こうぜ!」
「こら、廊下を走るな」
「あ、いっけね忘れてた」

 おお、なんだこのやり取り。面白いんじゃないか?

「おー真田の弁当美味そうだな!」
「いや、今日のは昨日の夕飯の残りを入れただけで……」
「お前自分で作ってんの?」
「あ、ああ」
「俺も自分で作ってんだっ。じゃあ今度卵焼き作って来るからさ、交換しよーぜ」
「うむ、それも楽しそうだな」

 おお。楽しい。

「……案外、お前の言う通りだったのかもな」
「む、何か言ったか?」
「……いーや、なんも言ってねぇよ。」


「なーんも、」


|| / Bkm




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