《駅前のたこ焼き屋》
「らっしゃいっ」
ガタンッ
「イッテ!!…お、おっちゃん!たこ焼き3つ!」
『待って待って私食べないから2つでいいよ!』
「えーっじゃあ俺が2つ食うッスよ」
『…わかった。じゃあ3つで』
「あいよっ3つだね…1260円だよ」
『あぁはい。1260…えんっと』
お店に着いて、赤也くんはすぐにたこ焼きを頼んだ。
余程楽しみにしてたみたいで、勢い余って注文前に横にあった看板に右足をぶつけていた。可愛いなまったく…。
てゆーかさっきあんなにお菓子食べたのに良く食べれるよなぁ。私の胃にはもう水分しか入らないよ。
『柳くん、そこの自販機で飲み物買ってくるけど何か飲む?』
「あぁ…それなら烏龍茶を頼む」
『烏龍茶ね。赤也くんは?』
「えっ俺にも買ってくれるんスか?先輩太っ腹!そんじゃあ俺はコーラがいいッスっ」
『了解、赤也くんはコーラね。まぁ今日は特別だよ』
そして、8歩ほど先の自動販売機まで進み、烏龍茶、コーラを買いに行く。
ガッコン
『うーんと、私は何にしようかなぁ…(ドンッ)わっ』
二人分のジュースの缶を抱えながら少し考えていたら、誰かにぶつかってしまった。
『ごめんなさっ』
「ああっ!晴乃ちゃん!」
『へ?』
「元気だった!?ってちょっ何この子!私服めっちゃ可愛い!髪染めてるキレイ!てゆーかここで何してんの!?私は友達と遊び!」
『おおぉう…夕陽ちゃん。相変わらずのハイテンション。…えっと…私も友達と遊びに来たの』
ぶつかった相手はまさかの夕陽ちゃんだった。
けど、目があった瞬間両肩を掴み、揺らす勢いで一気に話しにかかってきたので少々戸惑ってしまった。
「もおっ遊びに行くなら私も呼んでくれればいいのに!友達って誰?柳くん?」
『うん、あと赤也くん。家に遊びに来てたんだけどね、ゲームばっかりになっちゃうから外に行こうって。今は2人にたこ焼き奢ってあげてるの』
「奢ってあげてるの?男が奢るんならわかるけど…普通逆じゃない?」
『それはその…説明すると長くなるから』
ガッコン
夕陽ちゃんと話しながら、自分のジュースを買う。
「ふーん…てゆーかぶっちゃけどっちと付き合ってんの?やっぱり柳くん?」
『いや…だから付き合ってないんだって』
「じゃあ切原赤也?」
『二人とも友達』
「なぁんだ付き合ってないのか。なんか晴乃ちゃんって恋の話題とかないからちょっと心配。あー…てゆーかもういっそあの2人どっちかとでいいからつきあちゃえ!」
『ええ!?何いってんのっ!そんなのダメだよっ』
「ダメって何?」
『だ、だって、まずあっちにも選ぶ権利あるし…好きでもないのにどっちかっていうのもなんか違うと思うし…その前にあんなイケメン二人に私なんか釣り合わないでしょ?……友達なら何も考えないで気軽に楽しく遊べるじゃない』
「うーん………確かにそうなんだけどさあ…。いや、晴乃ちゃん可愛いよ!自信持ちなって!私思うんだけど、切原くんって絶対晴乃ちゃんのこと好きだよ!!」
『え!?どっ…どういう根拠でそうなるの?』「女のカンってやつ!いや、カンじゃなくても見ただけで誰でもわかるよっ」
『えぇっ??』
「あっ…やばっ!みんな待たせてるんだったっ!…まぁそういう事だから、後はメールで話そうね!じゃあっ」
『どういう事なの…うん、またね』
夕陽ちゃんって一方的に話すだけ話してほったらかしにする事が多いんだよな…。マイペースっていうか、サバサバしてるっていうか?
でもそういうのが良い所でもあるし、可愛い子だから許せるっていうか…。
…そ…そっか…赤也くんが…
いや、まさかそんなの……ないってないない!
私なんかを好きとか有り得ない!うん、夕陽ちゃんの早とちりだよきっと!
「そんなとこにつっ立って何してんスか晴乃先輩」
『ハッ……っや、ちょっと友達とバッタリ会ったもんだから。何かボーッとしちゃてた』
「ふーん?…てゆーかもうたこ焼き出来たんで、柳先輩は先にそこのベンチで食ってますよ」
『あ、うん。…待たずにさっそく食べてるんだね』
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