「ぬあああああー!!また負けた!酷いっスよ柳先輩ぃっ」

『ちょと!まっ…あっ…あーーーっ!!!柳くんのアホーー!!不意打ちとか卑怯だよ!私まだコントローラー渡されて無いのにっ』

「油断してるお前達が悪い」



えっと、どうしてこうなったかと言いますと…。


あの後、赤也くんがやっていた格闘ゲームの操作法を初心者柳くんに教えたあと3人でやることにしました。

1回目は、とりあえず赤也くんと私でやってみせる。
その間の柳くんは、何やら私達の持っているコントローラーと画面を見てノートに書き込んでいた。

2回目は練習と云うことで、一度私と柳くんでやってみた。
すると一瞬の内に柳くんの勝ち…ま、まぐれかな?と思いながら赤也くんにバトンタッチ。

3回目、赤也くんも負けてしまう。
まさかのここでマスター発揮なのか、格ゲーが上手い赤也くんにまで勝つなんて思ってなかったから少しの間呆けてしまった。


その後何戦も柳くんvs私達を繰り返しても1回も柳くんに勝てなかったので、こんなワーギャー騒いでるのです。



『もういやっ…無理だよっ勝てない。絶対初心者とか嘘だっ!誰も見てない所でやり込んでたんでしょっ』

「ゲーム機自体触ったのが初めてだが」

「それも絶対嘘ッスよ!だってっ初心者のコントローラー捌きじゃねーっスもん!」

『だよねっ!さっきの見た!?連打とかコマンド打ちとか手付きがプロってたし!…あ、あれ?何か目から汗が』

「見ました!柳先輩もう格ゲー禁止!もう俺達のプライドやなんやらがズタズタっす!…あれ?俺も目から汗が…」

「……2人して一体何なんだ。それくらいで泣くな」


「な、泣いてねーっス!」
『そ、そうだよっコレは汗だよ!』



もう柳くんとは一生格ゲーしない。
だって負け続ける画面の中の自分が可哀想すぎるんだもん。
リアルに涙が止まらなくなる。



『はぁ……あ、もうこんな時間』



時計をみてみると四時半過ぎ。
あれから1時間以上もゲームしてたのか…。
チラリと机に置いてあったお菓子のお皿を見るてみると食べかすしか残っていなかった。
一袋分に入っていたお菓子を詰め込んだはずだったのに、気づかないウチに私と赤也くんでほぼ平らげていたみたい。

で、柳くんは緑茶をリクエストしたのでその緑茶のみ飲んで格ゲーに夢中だったらしい。



『…そういえば君らはいつまで家にいるつもりなの?』


「あー…俺は6時までいるつもりッスけど」

「俺も6時までだな」


『マジか。まさか6時までゲームしてるつもりじゃないよね?』


「え?ダメなんすか?」

『いや、ダメだよ。なにその当たり前みたいな顔。…あっそうだ!赤也くんにたこ焼き奢るんだった。駅前行こうよ!ついでにもう外で遊ぼっ』

「たこ焼き!それなら行くッス!」

「行くのは構わないが…俺はついて行くだけなのか?」

『…じゃあ柳くんにも奢ってあげるよ。いつもお世話になってるから、せめてものお詫び』

「そういうことなら行くしかないな」



ということで、ずっと家に居てゲームするだけじゃつまらないので赤也くんにたこ焼きを奢るついでに外で遊ぶことにしたのでした。


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