ざわざわ…


『もう始まってる…早くない?』


中庭に着くと、もう皆バーベキューをはじめていた。


「先輩の風呂が長すぎるんすよ。俺30分以上あそこで待ってて途中めっちゃ睡魔に襲われたんスからね」

『(言われた通りずっと待ってたのか。素直すぎるよ…可愛いなこんちくしょう)ごめんごめん、赤也くんがいると思ってなかったから普通に入ってたよ』

「まあいいけど…ってそれより腹減った!早く肉食いてぇっス俺っ」


赤也くんはそう言って、立海の皆がいるとこまで走って行った。
私もそれを追いかける。


『男子は肉好きだねぇ…』

「小波さん」

「ん…おぉ不二くん!なんか久しぶりだね」

「うん、目は合ったけど話はしてないからね。元気だった?」

『…まあ一応元気かな』

「ふふっ一応なんだ」


不意に名前を呼ばれたので振り返ってみたら不二くんがいた。
そしていつもの爽やかな笑顔でおいで、と手招きされたのでふらりと近くに歩み寄る。



『何?』

「せっかくだし小波さんのメアド教えてくれないかな?」

『うーん…いいけど、どうしたの?わざわざ呼び止めてまで聞くなんて』

「なんとなくだよ。それにメールならいつでも話せるからね」

『なんとなくなのか。ふーん…そっか、じゃあ赤外線で送るよ』

「あぁっ不二先輩だけずるいですよ!俺にも教えてくれよ小波さんっ」

『わぁっ…桃城くんか。いやまぁこの際だし別にいいけど…』


そして赤外線通信で不二くんに送ってから桃城くんにも送ってあげた。
チラッとみた2人の顔は、心なしか嬉しそうにみえなくもない。


『でもさ、…2人とも登録しててもメールするような事無いでしょ実際』

「そんなことないと思うけどな」

「まぁまぁっ俺はたまにメールしてくれればそれで満足だから気にすんなって」

ドンッ

『いたっ…ちょっとその背中ドンッってのやめて。痛いんですけど』

「気にすんなって」

「気にするって。痛いって言ってるよね私」


ドンッ
『うっ!』

「晴乃先輩!何うろちょろしてんすかぁっ立海はあっちっスよ!」


背中から別のドンッがきたかと思ったら、赤也くんがタックルをしてきたみたいだ。


『ごほっ(…た、タックルやめれって言ってんのに)……はいはい、今行くよ。じゃあね、不二くん桃城くん』

「うん、じゃあね」


「メールしたらちゃんと返してくださいよーっ」


『はいはーい』


私は腕を引っ張られながら、後ろ向きに手を振った。


『…ちょっと赤也くんっそんなに引っ張らなくてもちゃんとついてくって』

「またどっかふらふらされたら困るんすよ。先輩いないと幸村部長不機嫌だから」

『なんでそこで幸村くんが出てくるかな…。てゆーかどうせ私はストレス解消道具なんだよ。もう嫌だ、青学に転校したい』

「ダメっすよ!何言ってんすかっ」

『い〜や〜だ!何でダメなのっ』

「ダメなもんはダメ!俺が寂しいんすよっ」

「何でよ!寂しいとか可愛い事言わないでよ!萌える!もーっ赤也くんのばかっ幸村くんのばかっ……柳くんのバッカ野郎ーっ!」

「萌えるって…なんで柳先輩だけ野郎つけたんすか。もういいからっ行きますよ!」


結局、変な意地を張る私を、ズルズルとみんなの場所まで引っ張っていった赤也くんでした。



「クスッ…立海って楽しそうだね」

「そーっすねぇ」

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