『あの〜…すみませ〜ん』


ワイワイ

『ちょっと申し訳ないんですが…相田さんを連れて行きたいんですけど〜…』


「もーっダメですよぉーはずかしいっ」



『……………無視か』



和気藹々と騒ぐ集団。
誰も私の存在にも気がついていないみたいで、相田さんに夢中になっている。

…てゆーか正直、この光景は私にとっては寒すぎて…

なんかこれ以上近寄ったら気持ち悪くなりそうだ。いやもう既に気分が悪いよ。



「完全無視ですね。…なんか俺気持ち悪くなってきたんであっち行ってていいですか?」


『わぉシンクロしたよ。私も気持ち悪いんだ、どうしよう』


「どうしようって言われても…自分で何とかしてください」


『んな殺生な。助けてよ』


「無理ですね」



日吉くんはそのまま私を置いて行ってしまった。



『無理ですねって……マジで助けてくれないのね』



…さぁてどうしましょう。
無視となると、対応のしようがないじゃないかこのやろう。

………あ、そっか。今回は幸村くんが呼んでるって言っても嘘じゃないよね。

だって連れてきてって言われたもの。
嘘じゃないよ、うん。



『ちょっ…すみませんどいてくださいっ…あ…あっのーっ相田さーん!…ゆ、幸村くんが呼んでるんだけどー!』



「ピクッ…幸村先輩が?」



お?反応したか?



『な、なんか話があるみたいで…』

どんっ
『うわっ!』

「おっと…大丈夫か?そない無理せんと出た方がええで晴乃ちゃん」

『!…お、忍足くん…』



無理矢理集団の中に突っ込んだため途中誰かに押されて倒れそうになったが、近くにいたらしい忍足侑士に支えられて転ばなくてすんだ。



『すみません…ありがとうございます』

「ええねんコレぐらい、それより怪我ないか?」

『べ、別に……えっと、とりあえず離して貰えませんか』

「おぉすまんすまん」



言われてパッと離した忍足くん。



「………先輩」

『!?……な、何?相田さん』

「本当に呼んでるですよね?」

『…あぁ、はい。…連れてきてって言われたから来たんだけど私』



突然目の前に来た彼女は顔を少し伏せて話すから表情が見えない。
何考えてんだ…?わざわざ私の所まできてそんな事…



「ふふっ……良いですよ。先輩の企みはわかってます。また騙そうとしてるんですよね?」

『……………え?(どうした急に)』

「でも美姫、今回は仕方なく騙されてあげる。幸村先輩の為にね」



ニヤリッと笑った相田さんは、その場からスッとファッションモデルのような歩きで立ち去っていった。
それと同時に、男子の集団は自分たちの持ち場に戻っていった。



『(いみわかんねー)…………え〜…と………………どういう事なの?…騙されてあげますって…いやまぁ別に良いけど、何あの笑み。てゆーかバカなの?アホなの?』

「晴乃ちゃん、キミな、そういう事は心の中で言いなや?だたもれとるで」

『ハッ…口に出てましたか?』

「フツーに出てましたけど。なんやおもろいなぁ晴乃ちゃんって」



「忍足、てめえも早く戻れー」



「あぁ、わかっとる…ほな俺も練習戻るわ。またな」


フッと笑ってから、何故か私の頭をポンっと撫でていった忍足くん。

……なんかこの前も桃城くんに同じことされたんだけど。
もしや同い年にも子供扱いされたのか私は。



「オイ、お前」

『(ビクッ)…は…はい!』

「何ビビってんだ。…伝言だ、幸村に伝えておけ」

『?…はぁ』



跡部さんは、最後だからバーベキューをする。風呂が済んだら中庭に皆呼べ。と言っていた。
しかも肉や野菜なんかも最高級なやつでするらしいです。
それを伝えろとの事。…面倒くさいなぁ自分で言えば良いのに。



「…お前一瞬嫌そうな顔したな。アーン?」


『い、嫌じゃないっす。しっかり伝えときますんで!』

ダッ



「……逃げやがったな」


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