《休憩時間》


全員休憩中に、ドリンクボトルを持った幸村くんが私の前に立って言いました。



「晴乃。美姫連れてきてよ」

『…ま、また唐突ですねお姉様。なにか用事で?』



いつも思いついた様にこういう事言うからなぁ幸村くんは。…あの人を連れてきて何をするって言うんだろう。



「うーん、最後だし説教しようかなって。実は3日くらい前から苛々しててさ、発散したいんだよね」

『3日くらい前……や、まぁ良いですけどね。色々ツッコミたいけど、その苛々が私に向かなかっただけでも良かったし…。行ってきます』



てゆーか行きたくないとか言えないから行きますよ。えぇ。…私はパシリか。
何で中学生の言いなりになってるんだよ私。……なんか涙出てきたんだけど。



「なに泣いてんすか?先輩」

『ずずっ…なんでもない。氷帝の所に行ってくる』

「…鼻水出てるっすよ…」



―――――――……



ザワザワ…


『…ん…?何かザワザワしてる』



氷帝の所についてから、なんかベンチ辺りが賑やかな感じだったので、なんとなくコート内に入らず外のフェンス越しに遠目でのぞいてみる。



「きゃあーっやだぁ〜も〜!」


『…………』



遠目の先にある部員集まりの中から相田さんの声がした。
…やっぱり氷帝はレギュラー以外にも部員がいっぱいいるから思う存分ちやほやされるらしい。初日の青学の時は、相手にしてくれないからってわざわざ氷帝まで行くって言ってたし…どんだけ男好きなのキミは。
女子に嫌われる女子の典型的な例みたいじゃないか。…や、でももしかしたら私もハタから見たら男好きに見られてるのかも。
絶対二学期始まったらいじめられる気がする。
嫌だなぁ…なんか引きこもりたい気分。



「覗きですか小波さん。悪趣味ですね」

『!?……ひ、日吉くんか(ビビった…)。別に覗きっていうか…あの子を引き取りたくて来ただけだよ』

「あぁ…なら早く連れてって貰えると有難いんですけど。いい加減邪魔臭いんで、跡部部長に頼んで追っ払ってもらおうか迷ってた所だったんですよ」

『そうだったんだ…。ごめん、迷惑かけたねウチのマネージャーが。自己中な所はあるけど悪気は無いと思うんだ』

「…別にいいですけど。…あの女なんかに貴方がそこまでフォローする事はないと思います」

『…何気に酷いこと言うねキミ』



日吉くんは眉間にシワを寄せてベンチにいる相田さんを睨んだ。
そんなにいやなのか。
でも、睨む顔も綺麗だなぁ…さすが美人キノコくん…………ハッ、つい見とれてしまってた!
気を抜くとおもわず抱きつきそうで自分が怖い!しっかりしなきゃ私!



「…何やってるんです?自分のほっぺつねって」


ぐぐっ

『り、理性を保つ為の訓練…いっ、…痛い(泣)』

「小波さんって変な人ですよね。泣きながら自分をつねる人初めてみましたよ俺。……ていうか早く連れてってくださいあの人」

『ひゃい…わはりまひた』


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