ボールを戻したあと、近くにいた真田くんに相田さんを迎えに行くと言ってから青学側のコート付近に来ました。
本当は誰かについてきて欲しかったけど、練習が大変だろうからと気を遣って仕方なく一人で行くことにしました。

それでまぁ青学の人達は合宿練習に集中してるので、私がコート内に入っても気にしてないみたいです。
そして肝心の相田さんはというと…。



「…いい加減にしてくんない。アンタが居たら練習の邪魔なんだけど。早く帰れば」

「も〜っそうやってさっきからツンツンしちゃって!リョーマくん可愛いっ」

「イラッ…(なんだこの人)」


「おい越前、コイツの相手は俺がしといてやるから行ってこいよ」

「桃先輩…大丈夫なんすか?」

「良いから良いから。任せとけって」

「おチビーっ!!はやくー!れーんーしゅーっ!」

「ほら、英二先輩が呼んでるぜ」

「…ういっす」
たっ

「え〜と…相田だっけ?立海の人があんたの事迎えに来るって言ってたから大人しくしてようぜ。な?」

「むー…みんな構ってくれないから氷帝の所に行くもん!退いてよ桃城くん!」

「まあまあ」

「ちょっとっ…腕離して!行くったら行くのよ!」


うーん…コレは早く話しかけないと桃城くんが大変だな…。



『あのっ』

「ん?…お、早かったな!けど丁度良かったぜ!コイツ氷帝んとこ行くって暴れるから困ってたんだよ」

『そ、そうですか…あの、練習忙しいのに捕まえてもらってすみませんでした』

「良いんだってそんなの!早くどうにかしてくれよ」

『…や、でもどうにかって言われても…』

今の桃城くんは、相田さんの両腕を掴んで高く上げてぶら下げてる状態なので、どうにかと言われてもどうにも出来ないのである。


『どうしてそんな持ち方を……説明しづらくて仕方ないんですが』

「離してー!!」
「あーもーっ暴れんなよ…何だったらこのまま立海に持ってくか?」

『え、でも…それだと腕が疲れるし面倒んなんじゃ………あ』

「ん?どうした」



そうだ!さっきのアレをまたやってみよう。また引っかかるかわかんないけど、一か八かだ。



『相田さん』

「…っ…何か用ですか」



やっぱり私を鋭い目付きで睨む相田さん。
何がそんなに憎いのかしらないが、そんな目で睨む事ないよね。


『さ、さっき三強達がが早く相田さんに会いたいな〜…て言ってた気がするなぁ〜』

「三強って事は柳先輩もですか!?ハッ…でも先輩たち付き合ってたんじゃ…」

『そ、そうそう。なんか柳くんも会いたいって言ってたような言ってなかったような…そんな気もしなくは無いっていうか。だから行ってあ』

バッ

「うお!?」


「今すぐ戻ります!」



相田さんは桃城くんをすごい勢いで振り払って、猛ダッシュでコートを出ていった。



『げんきんだなぁ…(てゆーか私より馬鹿っぽい)。ごめんよ柳くん、今日は狙われてる日だから生け贄になってくれ』

「いってーっ!アイツ俺の腕を引っ掻いて行きやがった(怒)」

『本当すみません。あ、良かったらこの絆創膏使って下さい』

「お、おぉ。ありがとな」


良かった、予備の絆創膏ポケットに入れといて。



「そういえば名前聞いて無かったよな。あ、確か…前に見たとき大声で言ってた気がするけど忘れちまったなぁ」

『…あ、アレは名前だけじゃなくて、あの場面を全部記憶から抹消して欲しいんですけど…』

「でもアレ面白かったぜ!んじゃあ自己紹介な、俺は桃城武!」

『………小波………………晴乃です』

「何だその間。晴乃さんね。やっぱ俺敬語使った方が良いのか?」

『(何故に名前呼び…しかもさん付け)今更使われても逆に違和感が………もうなしでも良いです』

「だよな!俺アンタの事気に入ったぜ!仲良くしようなっ」

『え…気に入っ…?…はぁ』


なんか良くわからないウチに気に入られたな…意味がわからないや。


「晴乃さんも敬語やめろって」


ニコニコしながら背中をバンバン叩いてくる桃城くん。
無駄に力強いから痛いし…


『いや、まだそんな仲良くなったわけでもないし…いったっ…痛いんですけどっ!…てゆーか私も戻りますっイタッ…叩かないで!』

「あっはは!悪い悪いっ」

『…(絶対悪いと思ってないなこの人)』



まいっか。
とりあえず…相田さんも見つけたし、早く戻ってボール拾いの続きをしないと。
あ、戻り際になんですが…不二くんがバイバイと笑顔で手を振ってくれました。
不二くんって見るだけで癒されるなぁ…男子なのに。
ちょっとだけまた話したかったかも。



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