『そういえば…部長さん達は何処に集まってるのかな…』
「確か跡部さんの部屋に集まるって言ってた気がしますけど」
『その跡部……さんは一人部屋なの?』
「みたいですね」
跡部だけ一人部屋とか羨ましっ…金持ちなんだからみんな一人部屋にしてくれたって良いじゃん…。
妙な所でケチだな。
『わかった、それじゃあ跡部…さんの部屋に行こ』
「……なんでさっきからさん付けるのに間があるんです?」
『な、何でだろうね』
《跡部の部屋》
ガチャ
「失礼します」
『し、失礼しま〜す…』
「アーン?なんだお前ら」
「…ん?」
「あ、晴乃やっときたね」
『やっとって…お姉様の意地悪…。来るって知ってたんだから一緒に行っても良かったじゃないですか』
「フフッ…なんの事だろう。分からないなぁ」
『…もう』
跡部の部屋に入ると、まぁ当然跡部と、幸村くん手塚が居る。
それでなんとなくチラッと見渡してみると、スイートルーム的な感じでめっちゃ豪華。しかも大部屋より広い部屋の真ん中にドンっとおいてあるソファーに、あの3人が座っていて…なんと言うか…それをみると何故か笑えてくる。いや、笑わないけど。内心めっちゃこらえてますよ。
…ってそんなのはどうでもよくて。
早く部屋の変更許可を取らねば。
『…あの』
「跡部さん。芥川さんがもう既にいません。一度探したんですが見つからなかったです」
『…(くそー…先越された)』
「またか。…樺地」
「ウス」
わああっ樺地もいたの!?ビビったんだけど!
「…ウス」
『(ビクッ)…う、うっす!』
ドアの前で通路を塞いでいた私を、ゆっくり見下ろした樺地が何となく怖かったので慌てて避けた。
「何ビビってるんです?アイツはデカイですが襲ってきたりはしないですよ」
『や…だ、だって…』
「で?お前は何しに来た。女」
『えっ…あ、その……』
跡部に急にふられて体制を立て直す。
『えっと……部屋の…事で』
「アーン?部屋だァ?」
『…っ………やっぱ何でも無いッス…すみませんでした』
なんだよ跡部!無駄に圧力かけやがって!
何がアーン?だ!喘いでんのか!?
…もう良いよ!
仕方ないから相田さんと一緒の部屋に泊まってやるんだから!
「ハァ?」
『…じゃ…じゃあ幸村くん、私仕事に戻ります』
「(ちゃんと言えば良いのに…)うん、行ってらっしゃい」
『それじゃあまた、日吉くん』
「もう良いんですか?」
『…うん、良い。諦める』
「ちゃんと言えば良いじゃないですか」
『…別にもういいの』
「ふーん。てゆーか俺も一緒の方向なんで行きますよ」
『あぁ…そうなの?』
バタン
「なんだアイツは…用件も言わずに帰ったぞ」
「なんか晴乃、跡部にビビってたよ。怖かったんじゃない?」
「怖いだぁ?」
「…小波さんは人見知りらしいからもっと普通に接してやればよかったんだ」
「普通に接してただろ。…手塚、てめえは空気だったくせに良く言えるな」
「空気じゃない。…別に入り込んで話すような間がなかったからだ」
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