『…離してください』

「…なんか立海のマネージャーがいたんで捕まえたんですけど、挨拶したいっていってるんですが」

『!?…(そんなこと一言も言ってませんけどー!!)』



「ホンマや、よう見たら立海のマネージャーさんやないか」

「マジだ。顔普通過ぎてココに泊まりにきた一般客かと思ったぜ」


『(モブ扱いか。)…はぁ』



ちょっと……なんなんだ日吉コノヤロウ。逃げようとしたら片腕捕まれて動けないんですけど。握力半端ないんですけどこの人。マジで痛いし腕。



「挨拶しないんですか?」

『…(何でしないと行けないんですか?)』

「せっかく目の前にいるんだから自己紹介ぐらいすればいいじゃないですか」

『…(てゆーか腕めっちゃ痛いんですけど。離してください)』

「嫌です。離したら絶対逃げるでしょうアンタ」

『…(逃げるよ。当たり前です)』

「当たり前じゃないです」



「……彼女終始無言やったやん。なんで会話しとんねん」


「超能力でもつかってんのか?スゲーなお前ら」


「使ってませんよ。…この人どうやら人見知りらしいんです。だから俺も名字しか知らないんですけど…」


「自分名前なんて云うん?」


『……』


「……貴方に聞いてるんですよ。ちゃんと答えてください」


『…………………小波です』


「名字だけかい。名前まで教えてくれへんねや」


『……晴乃』


「晴乃ちゃんか…ええ名前や。俺は忍足侑士、これから1週間よろしゅうたのむな」

「俺は向日岳人!仲良くやろうぜ!」

「日吉は言うたんか?」

「…あぁそういえば俺も名乗っては無かったですね。…日吉若です。まぁ合宿中は世話になるらしいので、宜しくお願いします」


『は、はぁ…』



おぉう…跡部に会いに行くつもりがこのメンツに挨拶をする羽目になるなんて…。しかも意外にもフレンドリー?でかなり戸惑ったじゃないか。



「…なんや、俺どっちかってゆーたら晴乃ちゃんの方が好感もてるな。人見知りなんが惜しいけど。でも美姫ちゃん可愛い子やからなぁ」

「俺も美姫は好き。でも小波も良く見たら可愛いよなっ」


『(良く見たらは余計)…ども』

「…俺はあの相田って女は好きじゃないですね。いかにも媚を売ってる感じが…それに馴れ馴れしいんですよ」

「そういえば、若くぅ〜んって呼ばれてたなぁ」

「忍足さんキモい。もうどっか行ってください」

「酷っお前先輩に対して酷すぎやろ…まあ行くけどな」


『行くのかよ…』


「岳人いくで」

「おう!じゃあな小波!」



『…あぁ、はい…』



向日可愛いな…たまにイラッとくるけど。そして忍足は声がムダにエロいという…。



「プッ……ホントにアンタ人見知りなんですね。戸惑ってる姿面白かったですよ」

『わ、笑わないでよ………で?日吉くんは何故にここに残っておられるんですか?皆あっちにいますけど』

「俺も今から跡部さんの所に行くつもりだったから、小波さんも一緒に…と思ったんですがやめました。嫌そうなんで」

『マジっすか。嫌じゃないです、寧ろ一人で部長三人組の中に行くのが嫌だったので日吉くんがいると助かります』


「だと思いましたよ。俺も人見知りなんでちょっと気持ちわかります」


『え、ホント!?人見知り仲間っ!』



あ、思わず日吉の肩を掴んでしまったよ。
めっちゃ目ぇ見開いてんじゃん。



「!?…な、何ですか急に…驚くじゃないですか」


『ごめん、つい…でもなんか日吉くんなら仲良く出来そう。意外と優しいし。よろしくね』


「今頃よろしくって言われても…。まぁ良いですけど」



あ、良いんだ。


ってそれより早く部屋の事を跡部に言わないと、色々準備とかする時間がなくなちゃうよ。

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