主人公side


昼休みになりました。
今日も柳くんと屋上で昼食です。

けど、やっぱり低血圧の私はまた弁当を作れなかったので購買部へパンと飲み物を買いに来ました。

…因みに最近柳くんは弁当を摘まませてくれないです。
何でなのか聞いたら「甘えるな」とクールにツッコまれてしまって落ち込んだ。
柳くんちのおかず美味しかったのに…
ツッコミの後「お前が弁当を作ってきたなら交換してやらないでもない」と言っていたけど、当分は無理な話だ。
くそ…そう来たか参謀め。


とまぁそんな感じで購買部に来ました。
昼時なのもあって人は多め。
うーん…ココに来るのはもう日課なんだけど…元の世界の母校では昼時の購買部は壮絶だったから、それと比べれば落ち着いたものだなと思う。
てゆーかまずちゃんと並んでる所に関心する。



『(立海って意外とまじめ?…にしては髪の毛の色が奇抜な人多いけど。特に銀髪とか赤毛とか…)……あ、メロンパンといちごミルクください』


意外と早くに自分の番が回って来たので購買部のおばさんにいつものを頼む。


「はいはい。……あーごめんねーいちごミルクさっきの子で切れちゃったわぁ。メロンパンもこれで最後」


『あぁ、そうですか。じゃあ飲み物はオレンジジュー…』
えぇーっ!メロンパンねぇのかよぃおばちゃん!



後ろの方で叫んだデカイ声が私の声を遮った。
ちらっとみれば丸井ブン太だった。

まぁなんとなく声としゃべり方でわかったけどさ。


「しかもいちごミルクもねぇってマジか!」


「ごめんね〜。まあなんだい、今日はブン太ちゃんが遅かったねぇ」


「んだよ〜っあり得ねぇだろぃ」


『あの、オレンジジュースで』


「あぁはいはいオレンジジュースね。あわせて250円だよ」


言われて袋に入れたおばさん。
私はその隙にお金を置いた。
丸井くんは私を見てハッとした。


「あ!柳のダチじゃん!」

『ビクッ………ども…』


うわぉ…話しかけてきやがったよ…。
正直最近テニス部と絡むとはいえ、丸井くんとはあまり喋らないので人見知り発動中だ。


「……お前メロンパン買えたのか」


『…………まぁ』


「ここのメロンパンマジ旨くね?」


『………はぁ』


「…俺の買ったのと交換しねぇ?」


『………え?』


ポカンとしていたら、丸井くんは私の後ろにいた女子に「先にいいだろぃ?」と言っていて、女子は「ブン太くん!はいっどうぞ!」と顔を真っ赤にしてすんなり前を受け渡していた。

…ここで秘技《テニス部イケメン丸井》を使うなんて非道だ。
ちゃんと並んで買っていく私らに対してのイヤミなのか。



「メロンパンないならその辺の適当に10個ぐらい。あとコーラ2本」


「はいはい」


『(10個とかどんだけ食べんだこの人)………あの…』


がさがさと袋を下げて私の所にくる丸井くん。



「どれか好きなの選べ」

『…………私交換するって言ってないんですけど』


目の前にざっくりとした種類のパン入った袋をかざされた。


「俺今日はそのメロンパンって決めてたからそれじゃなきゃいやなんだよ。だから交換しろぃ」


『………え〜…』



なんだよコイツ。ガム食べながら喋りやがって。
その膨らんでるガム割ってやろうかデブン太コノヤロー。
自分の肉食ってろよ。

……あ、しまった。
ついムカついて心の中で暴言を吐いてしまった。
…いやしかし、私も実際このメロンパン気に入ってるんだよな…こんなに毎回食べたくなるくらい美味しいメロンパンってなかなか無いもんな……。でも丸井くんも欲しいとか言ってるし……交換か……てかあんぱん多いな。



『…………』


「聞いてんのかよお前。腹減ってんだから早く決めろぃ」


『(もう交換する前提か)……わかった。……じゃあそのハニートーストとかいうのと交換』


「……あんぱんにしとけよ」


『嫌です。ハニートースト』


「わーった!じゃあ交渉成立な!」


『…交渉してないけどね…』



私はハニートーストを受け取って、丸井くんにメロンパンを渡した。



「つかよぉ、お前ももしかして甘いもん好き?」


『え、……まあ…』


「俺もホントはメロンパンといちごミルク買おうと思ってたんだぜぃ?この二つみんな甘ったるいっつってセットじゃ買わねぇんだけどさ」


『そう…なんだ…(普通だと思ってた…)』


「甘党だな」


『……甘党…(…甘党だ。確かに)



「んじゃあ甘党仲間のお前にコレやる」


『え?』



ごそごそとズボンのポケットから何かを取り出した。



「俺のお気に入りの飴ちゃんとガム」


『……………ありがとう』


「おう、じゃあな柳の友達」


『………小波です…』



…やっぱり何かお菓子を常備してるんだあの人。



『…………甘い…うん、美味しい』



丸井くんお気に入りの飴は甘党には丁度良い甘さだった。
ガムは……後で食べよ。


そして、私はなんとなく良い気分で柳くんがいる屋上に向かったのであった。


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