海原祭が始まりました。
今日の午前中は、クラスの出し物の甘味処で接客担当の私です。
…しかしまぁ、人が多いこと。中、高、大で合同の文化祭って言うぐらいだしやっぱり人の量が半端ないです。正直緊張で手汗とか汁がヤバいです。助けてください。
…あ、それから柳くんは会計係なんですが、電卓無しの暗算で瞬時に合計とお釣り額を出すと云う神技で帰りのお客様が詰まることなくスムーズにいくという…なんと云う素晴らしいレジ人間…いやいや、とにかく凄いです。
それとあと関係ないですが、年上のお姉さんから逆ナンされてました。
まぁそれはともかく、いつ他校のテニス部の人達来るんだろうな。
「よう小波。来てやったぜぃ」
「プリッ…なんじゃ、割と忙しそうやのう」
「内装も本格的ですね」
「小波の和服姿ってなんか新鮮だな。似合ってるぜ」
『…ジャッカルくん、それって口説いてんの?』
「はぁ!?何だ急に!」
『いや、それはこっちのセリフだからね。…いらっしゃいませ、4名様ですね。此方のお席へどうぞ』
なんて思ってたら先に立海テニス部の4人が来てしまった。
とりあえず空いてる奥の席に案内してから、自分の定位置に戻る。
けれどすぐに奴らは私を呼んできた。色々面倒だから無視してるのにしつこく私の名前を呼んでくる。なんだよこいつら。
「おーい小波ー小波小波小波小波ー」
「注文きまったぜよ、早ようしんしゃい小波ー」
『……(もうっ、うるさいな…!)』
「小波!注文だってば!」
「客に対して無視はよくないぜよ小波」
『…なんなのあんたら(怒)』
仕方なくあの人達の注文を取りに行く。
『…ご注文どうぞ』
「俺はクリームあんみつと三色団子5本と水羊羹と和風パフェとー」
「ブン太…お前さっき俺らんとこで焼きそば3つ食ってただろ。食いすぎだ」
「良いんだよぃ。甘いもんは別腹だって。あ、あとぜんざいなー」
『はいはい、他の人達は?』
「私は抹茶羊羹で」
「俺は団子2本ぜよ」
「俺は普通のお茶だけで良いぜ」
『かしこまりました。少々お待ちくださいませ』
注文を終えたあと隣のクラスに行き、調理担当のクラスメイトに報告しに行く。そして戻って来る時に何か見たことあるような集団が丁度ウチの教室に入って行くのが見えた。…あれはもしかしなくても、一番煩そうな四天宝寺じゃないか。何で此処で来ちゃった…。
「ここやな、幸村くん情報によると柳くんとこの出し物っちゅうんは」
「…つか、こんな集団で来て良いとこちゃいますよねココ」
「明らかに場違いやな、俺ら」
「ここ甘いもんあるんかー?なんや他んとこより落ち着いとんなー!」
「当たり前やで金太郎さん、あと甘味処で騒いだらあかんよー。まあ他でもあかんけど」
「小春ぅー!」
「なんやのユウくんうるさいわねー。熱いんやから引っ付かんといて」
……ちょっと、入り口で何やってんだこの人達。退いてくれなきゃ入れないんだけど。しかも喋ってないけど後ろにいるでっかい銀さんと小石川がすごく邪魔すぎる。…しょうがない、あっちのドアから入ろう。
「お、四天宝寺じゃん」
「うるさいのがぞろぞろと来たぜよ」
「なんや君らも来とったんか。そっちの隣、丁度人数分空いとるしあそこ座らせてもらおうや。…って柳くんここにおったんか」
「あぁ、よく来たな。ゆっくりしていってくれ。…おい小波。後ろに居るのだろう、出番だ」
『!……だ、だから何で私なのってば』
柳くんがそう言うと四天宝寺の人達は一斉に私の方を向いた。皆して居たのかと言いたげな顔で私を見るので、顔をちょっと伏せながら席に案内した。
「へぇー、メニューも本格的なのねぇ。丸井君の食べてるのなんてどれもめっちゃ美味しそうやない?」
「内装も落ち着いとって接客も無駄がない。ええ感じや」
「白石ー!ワイもこれがええ!」
「コラ金ちゃん声デカすぎやで。ん?これってパフェがええんか?」
「俺は団子でええわ」
「ワシも団子とお茶で」
「俺はぜんざい」
「俺はあんみつやな」
『(ちょっまっどんどん言ってかないでくださいっ)……わ、若菜ちゃんヘルプっヘルプっ』
「え、ヘルプって何?」
『てゆーかチェンジで』
「え。…ってゆーか仁王くんいるっ早く言ってよ晴乃ちゃん!」
『あ、ごめん』
若菜ちゃんが他の接客から帰ってきたのでチェンジをしてもらう。当然、仁王くんが居るのですぐにいってくれました。
「…小波。逃げるなと言っただろう。ちゃんと対応しろ」
『だ、だって』
「おーい小波ー!まだかよぃ!俺のーっ」
『…う、うるさいな丸井くんっほかの人に頼め!』
「只今お持ちします、少々お待ちくださいませ」
「ん?…お、おう」
すっと入って来た若菜ちゃんが素早く対応し、隣の教室へ品物を取りに行った。そして戻ってきたら四天宝寺にもしっかり接客してからの仁王くんを後ろからガン見。
…そ…そんなに好きなのか…。
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