主人公side


喫茶店から出たあと、相田さんに連れられて女子が好きそうな物が揃う雑貨屋や、女の子っぽいふわふわな服ばかりある店に無理やり連れて行かされる柳くん。
私は何となくそれを見て可哀想だなぁなんて思いながら、見ていたんですが…。なんか急に二段重ねのアイスが食べたくなったので、アイスのお店に行くのに赤也くんを連れて買いに行きました。その戻り際、一瞬余所見をした瞬間に誰かにぶつかってしまう。しかもせっかく買ったアイスを落としてしまったので、ぶつかって来た人に文句言ってやろうと見たその人が柳くんだった。
なので、さっきまで一緒だった赤也くんはいないし、柳くんは怖いし、で慌てていたら「別に怒らないから落ち着け」とに言われた。そして柳くんは最初から気付いてたみたで、幸村くん達が居ることもしってました。



「え、もう見つかったんスか?」

「ダメじゃないか晴乃」

「えーっ嘘〜っ…つまんないなぁ」

『ごめん…。だって赤也くんってばいつの間にか居なくなってるし。まさかあそこで柳くんがぶつかってくるなんて思わなかったし…』

「人のせいにするんじゃない。そういう言い訳もよくないぞ」

『はい…すみませんでした』

「…もう気は済んだだろうお前達。さっさと帰らないか」

「えー」

「まだ嫌ッスよー」

「てゆーか、俺達ただ普通に遊んでるだけだから。気にしないでデート楽しみなよ」

『そうそう、ただ影で見守りたいだけだから』

「嘘をつくな。どうせ面白そうだと思って来たに決まっている」

『まあいいじゃん。それより早く相田さんの所戻んないと、不振がられるよ』

「………仕方ないな。その代わり、変に目立つ行動はするな。お前達は気にしなくても俺が気にするんだ」

『はいはーい。大丈夫、邪魔はしないからごゆっくり〜』

「………」



私が適当に返事したら、眉をひそめてその後大きくため息をついて戻って行った。…てゆーか、そんな大げさにため息つかれたら傷つくんですけど。最近の柳くん、私を見たらため息を吐くのでそのたびなんか悲しくなる。呆れてなのはわかるんだけど……そんなさ…せめて見えない所でしてくれれば良いのに。…あっやべっ泣きそ…

…いやまぁそれはともかく、柳くんには見つかったけど相田さんは気づいてないので、堂々とついていけないからやっぱり隠れながらのストーキングなんですが…、幸村くんの言う通りほとんど自分達もただ遊んでるだけです。

…そして、雑貨屋なんかを回った後ゲーセンに行き、プリクラを鬼のように撮りまくって柳くんを困らせる相田さんを見て、なんて自己中で空気読めない人なんだろうと思った。どうみても柳くんプリクラ苦手な顔でしょ…。もう少し気を使ってあげてください…見てて痛々しいから。いろんな意味で。



『なんか本当に柳くんが可哀想なんだけど…』

「…相田さんって鬼ね」


「ねぇ、俺達もプリクラやろうよ」

「いいっすね!やりたいッス!あ、晴乃先輩っ後でアーケードの格ゲーしに行きましょうよっ」

『うん良いよー』

「撮るならあの機種が一番綺麗に撮れるよ。デコも色んなのあってね」

「へぇー、よくわかんないけどスゴそうだね」



こうしてゲーセンもしっかり満喫した後の極めつけはカラオケ。柳くんは大分顔色が良くないですね。機嫌も良くないみたいです。しかも二時間も歌うみたいです。

その間私達は二時間も外で待ってる訳にもいかないので、なるべく2人に近い部屋に入って様子をうかがうことにする。まあ勿体無いんで歌いますけど。しかもあの美声の持ち主幸村くんと歌うまい赤也くんが居るので、積極的に2人に歌わせましたけど。夕陽ちゃんも上手かった。

そして二時間が経ちカラオケ店から出てみると、辺りはもう夜でした。時計を確認してみると7時を過ぎてました。…どんだけ遊んでたんだ私達。



「もうこんな時間かぁ…そろそろ切り上げましょうか、先輩」
「(やっとか…)あぁ」
「楽しかったですね!美姫、先輩とデート出来て嬉しかったです」
「そうか」
「けど」
「…けど?…なんだ」
「カレカノっぽくしてくれませんでしたね」
「…あぁ、そうだったか?」
「そうでしたよ。だから最後に一つだけ、…コレをしてくれればこのまま帰っても良いですよ」
「コレとは何だ」
「キス」
「…………は?」



「キスー!?キスって言ったよねあの子!ちょっとっまさかマジなの!?こんな公衆の面前であんなイケメンとするって言うの!?」

『しーっ!夕陽ちゃん声大きいっしーっ!』

「蓮二と美姫のキスって…端から見たらただの美男美女のいちゃいちゃカップルだよねぇ」

「そうっスね、まあこんな所でしたらめっちゃ目立つと思うッスけど」

『そりゃあ目立つよ。てゆーかただの迷惑なリア充にしか見えないよ』



明らかに柳くん困ってるじゃないか…。空気読めないのも大概にしてくれ。見てらんないよ。



「…悪いが、そういうのはどんな条件を出してもしない。…その前にこんな公衆の面前でするわけ無いだろう」

「そう言うと思いました。…それなら、私からしますから」

「は?…何言っているかわからな…っ!!?」



相田さんがやらかしました。無理やり柳くんにちゅーをかましましたよ。…ってちょっと、マジか。周りの人めっちゃガン見して通り過ぎてくけど。マジか。えっ夢じゃな………マジか。



「ギャー!!!本当にしたよ!!相田さんのバカー!!寄りによって晴乃ちゃんの前で!ギャーァ!!」
「…中原さん、煩いんだけど。ちょっと黙ってくんない?」
「はい、すみませんでした」
「うわぁ…あれは痛いッス。柳先輩が可哀想…俺相田とだけは絶対無理ッス」
『…そうだね…なんか引くよね』
「どうみても引くッスよあれは」



引くし、何か痛いし……なんてゆーかムカムカする。何だろうこのムカムカ…苛々とも云うけど。よくわかんないけど…苛々する。………私だけ?こんなに苛々してるのは。



「やめろ…何をする」
「えへっしちゃいました(ハート)」
「(なんだこいつ)…」



「うざぁあああ!!何あの子超ウザイ!殴りたい!」
「中原さん」
「いえっさーっ。…晴乃ちゃん、気にしちゃダメ。あれは幻、幻覚だったのよ」
『え?…あぁうん……え?』
「あれ、もしかしてテンパってる?」
「割と冷静に見てるかと思ったらテンパってたんスか。どうりで」



いやいやいや、テンパってないって。うん。びっくりはしたけど…。



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