ということで…柳生くんが宇佐見さんを連れてきたので今から話しをするみたいなんですが…先に幸村くんが言いたいことがあるらしく、「まぁ俺に任せて」と言ってから彼女の前に仁王立ちした。



「あ、あのー…幸村様?」

「…君がうさぎさん?ずいぶん可愛い名前してるけど顔は普通だね」

「は、はい!すみません!…あの、うさぎではなく宇佐見真弓なんですけれど…!」

「そんなのはどうでもいいよ。なんでキミは晴乃をイジメる為になんとかさんに指示したの?」

「木崎だ、精市」

「名前なんていちいち覚えてらんないよ。ファンクラブの会長って、気に食わない女子をわざわざ人に頼んでイジメる趣味があるのかい?俺達と仲良くしてるってだけでイジメるとか最低だね。俺そういうの嫌いだよ。あと幸村様って何なの?ウザい。それとさっきからその髪についてるの、う○こ?早く洗い流した方が良いよ。てゆーかケバい」



『……いま、あの幸村くんがう〇こって言わなかった?空耳?』

「空耳じゃないっすね。俺も聞こえたッス」



「こ、これは…髪を巻いてて…す、すみませ…っ…ごめんなさいっ私っ」



宇佐見さんは、ボロクソ言われて涙目になっている。
仮にも好きな人にあれだけ言われたらそりゃあ泣きたくもなるよね…。
でもこの人、プライドが高そうなお嬢様っぽいのに…よほど今の幸村くんが怖いのか、青ざめた顔で膝をガクガクさせている。



「謝って済む問題じゃないと思うけど。キミのせいで晴乃は、トイレで水被ったり、体操着をバラバラに切られたり、靴の中に死骸やら画鋲入れたれたり、他にも色々されたんだよ。今日なんか足に画鋲刺さって怪我されられたんだからね。もっとエスカレートして、大怪我になったりしたらキミのせいなんだよ。わかってるの?」

「は…っはい」

「…わかってるなら、ここに跪いて土下座しろよ」

「はい!すみませんでした!」


言われてすぐさま幸村くんに土下座した宇佐見さん。
けれどまだ納得していないらしい幸村くんは、爽やかな笑顔のままこう言った。



「俺にしたって意味ないよね。キミ馬鹿なの?晴乃に土下座しろって言ってんの。ちゃんと「申し訳ありませんでした、私が悪かったです。これからは小波さんの下僕になるので許してください」って言いながら頭を地面に擦り付けろ」


「…っ…!?…」


『(お姉様怖いよーっ!鬼畜過ぎる!)…ちょっとまって、何もそこまで…下僕とかは別によくない?謝ってくれるだけで別に良いよ』

「え?良いの?この方が面白そうなのに」

『面白そうって…。いや、本当に謝ってくれればそれで良いから、宇佐見さ』ガシッ!
「ありがとうっ小波さん!本当にごめんなさい!酷いことさせて!!!ごめんなさい!!」『…う、うん…』



泣きながら両手を掴まれて、大分食い気味に謝られたのでちょっと引いてしまった。
しかも…涙でメイクが落ちて目真っ黒だし…。



「じゃあこれでこの件は解決だよな」

「そうじゃなぁ」

「そうですね」

「良かったッスね!晴乃先輩っ」

「うむ、一件落着だな」

「晴乃ってばお人好しなんだから…。イジメのリーダーを簡単に許すなんて」『だって…なんか可哀想だったし…』

「本当にごめんなさいっ…私、あの子に色々聞いてカッとなってしまったものだから…。今の皆さんと小波さんを見てわかったわ。本当は違ったのね、ごめんなさい」


「ん?…待て。あの子、とは誰だ」


突然柳くんが宇佐見さんの話に待ったをかける。


「え?あ、会員の子です。二年なんですけれど…、新学期になってから新しく入った子で、名前は確か…相田と言ったかしら」

『え、相田…って相田美姫?』

「そうよ。彼女、色々情報を提供してくれる良い子だったから…まさか嘘だったなんて思いもしなかったわ」

『嘘?』

「ええ、主にアナタとレギュラーの関係についてなのだけれど…」



相田さんは、私と柳くんが付き合ってるとか、それなのにテニス部のレギュラー達を引っ掛き回してるとか、根も葉もない噂を教えていたらしい。



「ブッハ!俺達が小波と付き合ってる?絶対ねぇだろぃ(笑)」

「こんな普通顔の小波にそんな度胸あるわけないぜよ(笑)」

『むかーっ!図星だけどムカつく!馬鹿っしねっ!…ちょっとジャッカルくんそこ邪魔っ』

「まあ落ち着け小波。…でもよ、本当に美姫だったのかよ」

「だ、だよな…あり得ねえだろぃ」

「俄に信じられんな…」

「そうですか、相田さんがそんな事を…」



どうやら今の話を聞いて、相田さん信者の人達がやっと現実を見始めて来た様子。



『てか私、ひさしぶりに相田さんの名前聞いた気がするんだけど。合宿のあの日から顔もみてないし』

「そういえば俺も見てないね。あれだけ怒っておけば、近くには来れないとは思ってはいたけど」

「アイツ教室でもあんまり話し掛けて来なくなったッスよ。俺としてはその方が断然良いんスけど」

「浮ついた話も、最近ではあまり聞かなくなったな」

「ピヨッ…美姫ならたまに、俺達の練習見にきとったぜよ。影に隠れとったから目立たんかったけどな」

「マジっすか。うわっ全然気づかなかった…」

「これは相田にも話を聞く必要があるようだな」

『ってことはまだ解決じゃないね』



でも後一歩、コレを解決出来れば平和な生活に戻れるんだ。

…よし、ここはひとつ…私だけで相田さんと話をしてみよう。


『柳くん、私1人で相田さんと話するよ』

「何?1人でか?……俺達は最後まで協力するぞ」

『いや、1人で頑張る。…それに色々気になることがあったから…ふたりっきりで話しがしたいんだ』

「………そうか。わかった」



そうと決まれば、決行は放課後だ。

そして、変な噂の件と今まで気になってたアレとかを聞いてみよう。

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