主人公side
「おい、もう授業は終わったぞ。起きろ」
『…んー……もう朝?……あれ…そういえば、さっきはケーキが山ほどあったのに…ないや…』
「寝ぼけるな、学校にケーキがあるか。…それよりこれを見ろ」
『んぁ…?…なにこれ、ラブレター?』
「そんな訳ないだろ」
休み時間になり、5分を過ぎた頃起こされた。
そして柳くんが机の上に手紙らしきものを置いたので、私はまだ眠たい目を擦りながら、わけもわからずそれを読んでみる。
内容は私を無視しろとか書いてある。最後には丁寧に赤字で女子だけに回せと書いてあった。
字の感じからして明らかに女子だから…たぶん、私をイジメてる女子が回したんだろうな。
…まあまあ手の込んだ嫌がらせっていうか、小学生みたいな事やってるなぁ…。
もっと捻りのある事とか出来ないんだろうか、今時の中学生ってのは。
「ごめんなさい、小波さん」
『えっ…………え!?…な、何がッスか?』
「これを回したのは私なの…本当にごめんなさい」
『…は、はぁ…。………これはどういう事ですか、柳さん』
「そういう事だ、わかれ」
『どういう事だ、わからん』
柳くん曰わく、今何故か謝ってきたクラスメートの木崎さんが、今まで私をイジメる指示を出していたらしい。
それを突き止めた柳くんが、木崎さんに謝るように言ったからこういった状況らしいのだが…
「しかしまだ木崎に指示を出していた奴がいるらしい」
『……えっ…それって、木崎さんよりの上の親玉がいるってこと?』
「親玉かどうかは知らないが、そういうことだな」
木崎さんが言うには、その人はテニス部のファンクラブの会長をやってる強者らしい。
…つまりは、レギュラーには一人一人ファンクラブがあるわけなのですが、そのファンクラブ全部をまとめる会長をその人ひとりでやっていると云う事。
『で…その会長って誰?』
「宇佐見真弓さんよ」
「ふーん…宇佐見さんって誰?」
「宇佐見真弓。3年A組6番、身長165p、体重42s、血液型はA型、テニス部ファンクラブ会長で幸村が好きらしい。今はこれだけしかデータはない」
『いや、十分だと思うけど。逆に身長と体重を知ってる事にビックリしたよ』
「A組は弦一郎と柳生のクラスだな、どちらかに頼んで呼び出そう」
『…スルーですか。でも…呼び出してどうするの?』
「イジメをやめさせる為に決まっているだろう。宇佐見を黙らせなければお前のイジメは終わらないぞ。ファンクラブの人間は木崎だけではないからな」
『あぁ…なるほど』
「あの、柳くんっ…さっきのアレは…」
「ああ、そうだったな」
ぎゅっ
「きゃあああっ!!ありがとうっ柳くん!どうしようっもう手洗えないわっ!きゃあああっ!!」
『………………何アレ』
木崎さんは何故か柳くんと握手をし、途端顔を真っ赤にし、発狂したかのように教室を飛び出していった。
……あれ?
木崎さんってウチのクラスだよね?
何で出て行っちゃったの?
「イジメを辞める代わりに握手してくれと頼まれてな。それなら、お前に謝ってからならしてやると言ったんだ」
『だからってあんな…。完全に柳くんアイドル扱いじゃない』
「俺に言うな。それより、これなら今日中に解決できるかもしれないぞ」
『…ホントに?』
「そうだな、確率は67%といったところか」
『微妙だね…』
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