「えぇ!?イジメ!?」

『しーっ声大きいよっ』

「だってっ…もう!なんでそういう事を早く相談しないの!?私たち友達でしょ!?」

『ご、ごめん…』



逃げて来たのは良いけど、B組には丸井くんと仁王くんがいるのを忘れてた。
なので、メールで廊下に夕陽ちゃんを呼び出して小声気味に話をする。



「てゆーかなんで晴乃ちゃんがイジメられなくちゃいけないのよっ!テニス部と仲良いから?柳くんと友達だからファンクラブの人たちが僻んでるのっ?そんなのっておかしい!」

『ちょっ…落ち着いて夕陽ちゃん』

「許せないそんなの!今からファンクラブに乗り込んで抗議してくる!!」

『今から!?』



このままだと本当に乗り込んで行きそうな勢いだったので、一旦落ち着かせようと夕陽ちゃんを宥める。



『で、でも首謀者が誰かわからないのに、乗り込んでも意味ないんじゃないかな…てゆーかどこに乗り込むの?』

「そんなの全員に言えば良いのよ!てゆーか全員殴る!」

『殴るって…落ち着いて、ね?』

「…もーっなんで晴乃ちゃんってば怒らないの?イジメられてるんだから反抗しなきゃっ」

『反抗って言ったって…』



したってどうせ失敗するに決まってるし…だいたい女子の集団にどうやったって一人じゃ勝てないもんな…。



「てかなんで柳くんに言わないの?」

『……め、迷惑かけたくないから?』

「迷惑かけてんのはあっちじゃない!テニス部のせいなんだもん!それに友達なのにちゃんと言ってくれないと柳くんも傷つくでしょっ」

『は、はい…ごめんなさい』


物凄い気迫で押されて反論出来ない私。いや、夕陽ちゃんの言うことは正論だから反論なんて出来ない。

確かに、友達なんだから柳くんには言うべきだったかもしれない。
でも、わざわざ隠してきたのに、今になって言ったらかなり怒られそうで怖いな…。

さっきなんて逃げちゃったし…



「ちょっとケータイ貸して晴乃ちゃん」

『え、あ、うん』



携帯を受け取ってから電話帳を探った後すぐにどこかに電話を掛け始めた夕陽ちゃん。



『夕陽ちゃん…誰に電話を…』

「……あ、もしもし?柳くん?私、晴乃ちゃんの友達の中原夕陽です」

『え…』

「あのね、今日の放課後テニスの練習あるよね?そんでレギュラーの人らみんないる?………うん、…うん…そっか。それならさ、今日晴乃ちゃんから話があるからみんな来るようにって言っといてくれない?…うん、よろしくね。それじゃあ」

ピッ


『ちょっ…ちょっと待って。私今頭が混乱してきて…』

「まあそういう事だから…放課後はテニスコートに行こうね。あ、確か晴乃ちゃんは昼ご飯柳くんと2人で食べてるんでしょ?柳くんにはその時にイジメの事全部話しておいてね、良い?」

『………でも』

「でもじゃない!私は、コレからズルズルとイジメられてる晴乃ちゃんを見るのがヤなの!助けてあげたいの!だからこういう事はみんなに相談しなきゃダメ!」

『夕陽ちゃん…』


……なんて良い子なんだこの子。なんかもう…今ので感動して泣きそうなんだが私。

私みたいな普通で冴えない卑屈女子と友達になってくれて、その上イジメられてても気にしない、それどころか助けてあげたいだなんて……本当に良い子だ。

『…ありがとう。ちゃんと話するね』

「頑張れ!話せばちゃんと分かってくれるから!放課後は私も行くからね!」

『うん…頑張る!』



そしてタイミング良く予鈴がなったので、私は夕陽ちゃんに見送られながら教室に戻った。


それから授業が始まって、さっきの事が気になって横目で柳くんを見てみる。
…うん、いつもと変わらず綺麗な横顔。
さっきの電話での会話は気にしてないのかな…いつも通りに数学の授業を受けてるみたいだ。

あ、こっち見た。



「…何見てるんだ。今日は当てられる日だからボーッとしてると恥かくぞ」


『えっ嘘っ…い、今どこ?何解いてるの?』


「だからボーッとするなと言ったんだ」


『はぁい…すみません』



なんていうか…昼休みちゃんと言えるかな…。今から不安になってきた…。


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