9月2日の朝。
なんとなく目覚めは良い。
昨日はあれから、ずっと気分的に暗かったんですが…
ウチに帰ってからよくよく考えてみると、幸村くんのキレのあるイジメに比べれば女子の陰湿なイジメなんて屁でもないんじゃないかって思い、吹っ切れる事にしました。
いつもネガティブだから、こういう時こそポジティブになるべきだと。
…まぁそう言い聞かせて頑張るしかないので仕方ないですよ。
それでもやっぱテニス部の人達に迷惑かけるのとか嫌だし…この事はバレないようにしないとな。
『……よっしゃ!あけるぞこのやろー!かかって来いや!』
「…何靴箱に向かって怒鳴ってるんだ」
『!!?……や、柳くん!やっほーっ元気?』
「おはよう。今日は早かったな」
『無視かい。…うんまあ早く目が覚めちゃってね』
いつもより余裕を持って登校した私は、イジメと言えばやっぱり靴箱は怪しいと思い、誰もいないかを確認せず気合いを入れて叫んでいたら、丁度来た柳くんにそれを見られてしまいました。…恥ずかしい。
「で?何で怒鳴ってたんだ」
『え、あ、いや…ちょっと靴箱に挨拶を』
「………頭大丈夫か?」
『大丈夫だよっ頭は至って正常!』
「それなら良いんだが。もしアレなら良い病院を紹介するぞ」
『アレって何!?病気とかじゃないから大丈夫だよ!!……あ、あれ?』
つっこむ勢いで靴箱を開けて上履きを取る動作をしたら、見事にからぶった。
そして中を覗くと、靴箱の中身は空っぽ。
……もしかして、盗られた?はたまた捨てられた?
「どうした」
『…え…あ、いや。う、上履き持ってくるの忘れた』
「忘れた?…しかし昨日はちゃんと履てたはずだが…」
『な、夏休み中ずっと学校に置いてたから、洗わなきゃと思って持って帰ってたんだよ。今朝玄関に置いてたんだけど忘れてた』
「………それなら今日は職員玄関の所からスリッパを借りて置けばいい」
『うん、そうする』
とっさに嘘ついちゃったけど…少し不自然だったかな。てゆーかかなり挙動不審だったかも。
まいっか、柳くんやテニス部の人等にバレなければ。
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