あの後色々歩き回ってから、最終的に本屋で時間つぶしをする私たち。
でも柳くんは店に入ってすぐに難しそうな本のコーナーに行ってしまったので、私と赤也くん2人で漫画コーナーにいる。
『…あっこの漫画欲しかったやつだ…コレ買おっと』
「てゆーか先輩、もうすぐ6時ッスよ」
『え、ほんと?……あー…じゃあちょっと待ってて、あと少し欲しいの探すから。おわったら買ってから柳くんとこ行こ』
「はぁい」
携帯の時計を確認すると5時50分。
まあ、少し時間は余ってはいるけどそろそろ帰る時間だ。
私はとりあえずさっと見つけてからレジに向かう。
「…えー…お会計が4900円になります」
『(あちゃあ…ちょっと買いすぎたかな)……まあいっか』
「晴乃先輩買いすぎじゃねぇっすか?」
『良いの良いの、たまには。…あれ?赤也くんは買わないの?』
「買いませんよ。だってお菓子代に使って金無いッスもん」
『そうなんだ。………あ、そういえば』
店員さんが本のビニールを取ったりをしてる間に、ふと思い出して赤也くんに話しかけた。
『赤也くんさ、ウチに来たときに「だって姉貴が…」って言いかけてたじゃない?あれって何だったの?』
「えっ?……あ、いや…あれはっべっ別に何でもねぇッス」
『…何でもねぇって云う割には凄くしどろもどろなんだけど』
「や…その…だから…ちょっと喧嘩しただけで…先輩は気にしないでもいいんすよっ」
『…ふーん?』
なんで隠すんだろ。
喧嘩した事ぐらい隠すことないのにな。
そして漫画の入った袋を受け取って、柳くんのいる所へ行く。
『あ、いた。おーい…柳くん、そろそろ帰ろうよ』
「…ん。…あぁ、もうそんな時間か」
「うわっ…なんすかこの難しそうな本っ文字だらけじゃないっすか。柳先輩っていつもこんなん読んで…うわっ俺には無理っす」
『うわぁっほんっと文字だらけ…流石だね。私だったら読んでる内に眠れるよ、これ』
「……はぁ…お前達は本当に…」
柳くんのいるコーナーは、立ち読み可能だったらしく、時間が経っているのにも気がつかずにずっと読んでいたみたいだ。
ほんっと柳くんってこういう本好きだよな…てゆーかこれ以上頭良くなってどうするつもりなんだろ。
詰め込みすぎて頭パーンってならないのかな?
『…なに?馬鹿って言いたいの?ん?』
「それより暗くなる前に早く帰るぞ」
『あ、話そらしたなこのやろー』
私の話を流して、自分の買う分の本を持ってレジにむかっていった。
その柳くんの背中を見ながらなんとなく考える。
なんてゆーか…柳くんも本とかテニスとかデータ収集?ばっかりだよな。
彼女とか、好きな女子とか、そういうのいないのかな?
まあ…それを私が言うのもおかしいけど。
でも中学三年生っていったら青春真っ盛りじゃない?友達の私にくらい、そういうの話してくれたら良いのにな。……やっぱり女の私には話しづらいとか?
…………って、夕陽ちゃんのせいでこういう事ばっかり考えちゃうなぁ。気にしてないつもりだったんだけど、やっぱり赤也くんのあの話とか気になるっちゃあ気になるもんね。仕方ない。
『ねぇ、赤也くんって好きな子いる?』
「すっ!?…な、なっ急になんスか!いねーっすよ!そんなん!先輩のバカ!」
『えっバカってえ?なんで私怒られたの?』
「……お前は本当に鈍感だな」
『柳くん…早かったね。…って鈍感?何が鈍感?』
「…帰るぞ」
なにか色々疑問だらけのままほったらかしにされてしまった。
鈍感って事に関しての説明はしてくれないのか。
なんかもやもやするなぁ。
そして私たちは本屋からでて、柳くんはバス停へ、赤也くんは私とは反対の道に帰って行きました。
なんというか、今日はなにかとそわそわする1日だったな。
…まあ、楽しかったけどね。
next.
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