希望の光

あれからどれくらいの時が流れたのだろう。ただ外の見回りが騒がしいことしかわからないが、読んでいたものを置いて聞き耳を立ててみる。
 

―聞いたか、あのメガトロンをオプティマス・プライムが捕縛したって話だぞ
―ああ、あれか。やっぱり生きていたんだな


「…嘘」

もうそこまで話が進んでいるとは思わなかった。だとすればブラーやプロールもスタースクリームも既に…。ダメだ、考えるな。もしかしたら原作が変わっているかもしれない。それに望みをかけよう。
暗く冷たいこの牢屋で、そう祈るしか出来なかった。











オートボットに捕まったメガトロンたちは同じ牢屋に入れられ苦渋の汁を吸っていた。長きにわたる戦いもこれで終わる。メガトロンが処刑されればディセプティコンはバラバラとなり滅ぶ道を辿るだろう。
そんなとき、ショックウェーブは単眼を瞬き何か思い出したように呟いた。

「そういえば…、ここには大型トランスフォーマーが収容されているな」
「? それがどうしたっツか?」
「詳しく話せぃショックウェーブ」
「はい、ここにはオートッボトからディセプティコンに寝返ろうとし、捕縛されたトランスフォーマー…スカイファイアーがいます。奴の火力は計りきれません。もし外に出せれば我々の良い戦力となりましょう」
「ふむ…」
「…スカイファイアーですって?」

反応を示したのはスタースクロームのクローンたちだ。それを代表してスリップストリームが立ち上がる。

「それ、間違いないの?」
「そうだが…なにか気になるのか?」
「あるに決まってるわ。スカイファイアーはオリジナルの恋人ですもの」

周りが驚愕する。まさかあのスタースクリームがオートボットとそんな関係にあるとは思いもよらなかったからである。

「む、昔からの恋人だって言ってたよ」
「ああ、大事な奴だってな。裏切りを画作して味方にバレて捕縛されたけどな」
「ええ、とてもお優しい方だと素敵な笑顔で仰ってましたよ、よいしょっと」
「スタースクリームは不機嫌そうに言ってたよ、この嘘ホント」

メガトロンたちは互いに顔を見合わせ意外そうな顔をした。いつもはバラバラであるクローンたちが1つに纏まったのもそうだが、自分たちの知っているスタースクリームとは想像もつかないほどそのトランスフォーマーを溺愛しているのがわかる。

「そ奴の場所は覚えているのか?」
「はい、この地下深くに…座標も完璧です」
「なら、こいつの出番だな」

メガトロンは懐から小型のロボットを取り出した。ステルス能力を兼ね備えたそれはオートボットの目を掻い潜り移動または破壊さらには通信、映像投影までもできる優れものだ。
それに座標をインプットするとすぐさま行動を開始した。小型ゆえにありとあらゆる場所を突破し、目的の場所まで辿り着く。見張りの目を気にして天井に潜入し、まんまと牢屋の中に入ることが出来た。

「こやつか」
「はい、スカイファイアーです」
「で、でかいっツ」
「オートボットにもこんな大きいトランスフォーマーがいたのデスね」

近寄り観察していると持っていたものを置き当たりを見渡しだした。すると小型ロボットに気づいたのかそれを手に乗せて観察しだす。

「これは凄い、ステルス機能があるのか。小型だけど力もスピードもある、スパイとしては完璧だ」
「ほう、これの良さがわかるのか」
「…誰だい?」
「我は破壊大帝メガトロン。貴様をスカウトしにきた」












希望の光り
(こやつの心理を見てやろうじゃないか)










‖後書き‖
やっと出会ったよ!牢屋でもメガ様はやっぱりメガ様、素敵です

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