君のその手を | ナノ


▼ 芽生えた意識に戸惑う

「サバイバル演習…ねェ」

めんどくせー…、担当上忍に渡された明日の日程の紙を一通り目を通しながら呟かれる。アカデミーでも演習は散々やらされては来たが今回は勝手が違う、めんどくさがりやなシカマルは不機嫌そうにも見えるその顔を更にしかめさせる。

「ねぇ、シカマル。カラスに渡すのどうしようか?」
「あ?あー…、あったなそういや」

ひらりひらりと紙を左右に動かすチョウジに言われれば、忘れていたのか今はいない少女に渡すことを思い出す。どうやらまだ体調が優れないのか、午後の顔合わせには来なかった、明日は来られるのだろうか。

「いのは店番に行っちゃったし、ボクたちだけで行く?」
「いや…、サスケに渡した方が確実だろ」
「あ、それもそうだね」

もぐもぐ、手に持つ菓子を食べ続けるチョウジの姿に苦笑が漏れる。まずはサスケを探すか、やっぱアイツのとこにいんのかね。


「―…、――…」

いつの間にか寝ていたらしく、意識が戻れば自然と足は窓の方へと向き、窓を開け風を浴びていた。けれど何か物足りない、それはなんなのだろうか。ガタリ、小さくだが物音が聞こえた気がした。カラスはゆっくりと首を傾げるように後ろを向く。

「……、悪ィ」

そこにいたのはシカマルとチョウジで、シカマルに関しては少し動揺していた。チョウジに至ってはそんなシカマルに驚いたのかあわあわと焦っているように見える。

「あ、あのさ!これ届けに来たんだ、サスケが見つからなくてここにいるかと思ったんだけど」

ね、シカマル!
シカマルに同意を求めるチョウジはフォローのつもりなのか早口になりながら話す。けれどシカマルは何も反応がない。

「―…ありがとう、届けてくれて」

目を細め、控えめに笑うカラスの姿は、普段は見かけることのない表情で、初めて見るその表情にシカマルは何時もは眠そうな目を見開かせ、顔は少しずつ紅潮する。そんな自身の変化に気づいたシカマルは顔を見られまいと横に背け、何も言えず…正しくは何も浮かばず病室から出た。

「え、シカマル!?あ、そうだ。お大事にね!明日は一緒に頑張ろうね!」

待ってよシカマルー!、とチョウジは立ち去るシカマルを追いかける。カラスは嵐のように去った二人を見詰め、面白そうにくすりと笑った。

芽吹き咲き、そして、



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