「おつかい?」



いつものように、気紛れのような学園長からのおつかい。

それを委員会で居なかった樹に伝えると、樹はきょとんとした。



「うん。おつかい。6年全員で、だってさ。珍しいよね」


「いつも1人から3人くらいだもんな」



もっとも、それはとても難易度が高い、ということなのだろうけど。



「1週間後らしいよ。作戦、練らなきゃね」


「作戦は練らなくてもどうにかなるしね」


「じゃあ、他の奴等呼んでくるか?」


「あ、僕呼んでこないよ」


「いってらっしーゃい」







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「へーすけ」


「樹先輩」


6年生の先輩が5年生の長屋に来るなんて、珍しい。何か用があるときくらいだろう。


「何か御用なのですか?」


用は無くても敬愛する先輩に会えて嬉しい、と思いつつ。


「ううん。ただね、明日おつかいをしない事になったから、またへーすけに委員会任せないことになるんだよ。いっつも任せないでごめんね?」


先輩、おつかいなのか…。

またしばらく会えないと思うと、少し悲しい。


「わかりました。樹先輩、頑張ってくださいね。委員会の事は任せといて下さい」


そう言うと、先輩は眉を少し下げてへにゃり、と笑った。


「へいすけは、本当に悪い子だねぇ」


先輩は俺の頭を柔らかく撫でて、お土産、買ってこないからね。と最後に言って去って行った。

5年にもなって、頭を撫でられるなんて屈辱かもしれない。

が、撫でるのが樹先輩なら嬉しい。

思わず頬が緩んで笑った。









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知ってますか?


悲劇とは、何処にでもあるものなのです。

この物語も、けっして例外ではないのです。




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