「あのっ…!わたし、鈴代くんのことが………好きなんです!!」


そう、顔を赤らめながら言って、こちらを上目使いでちらちらと見上げる天女―――綺羅里、さん。

まさか断られるなんて微塵にも想像していない顔。

後ろからは茂みからこちらを見ている同学年の微かな気配を感じる。




………なんか、もうめんどくさくなっちゃった。




こんなことになったそもそもの原因も、俺のことなんて全然見えてない友人達も、傍観してなにもしなかった自分も、全部、ぜんぶぜんぶぜんぶ。

ぜんぶ、めんどくさい。

ぜんぶ、どうでもいい。


「もう、やだ。」


いきなりそんなことを言い出した自分に、天女が疑問顔になる。

背後では、何言ってるんだ樹?みたいな雰囲気を感じる。

けれど、それもどうでもいい。

ぜんぶ、無いってわかったから。

信頼とか、期待とか、そんなのなくて。

奇跡なんてもちろんおこらない。夢物語は空想だけ。

知ってるよ。そんなこと。

昔も、そうだったから。

生きる意味を知って、でもそれがなくなったなら、生きてる意味あるの?

意味がないなら、理由がないなら、なにも、無い。

生きることも、無い。

そうじゃないか。




自害の仕方は心得ていた。

だって、敵に捕まったときもしものときは自害しなきゃ。

情報は、洩らしてはいけないから。



あ、心残りみっけた。


「みんな、八左ヱ門に伝言しといて。今度産まれる犬の、名前は青沼と白田と赤川がいいな。多分三匹産まれるよ。生物委員長の勘」


俺はクナイをすっと横にひいた。

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