俺は、子供のころ普通の子供としては考え方が歪んでいたと思う。つまり、ひねくれていた。

この御世代、そんなのありふれたものだったかもしれないけど、とりあえず俺は奇跡とか夢物語をまったく信じてなかったし、むしろそんなものはこの世の中にはひとつもないと思っていた。

"期待"というものをするのがいやだった。

期待をして、裏切られて、そんなので自分が一喜一憂するのがいやだった。

だから、忍術学園に入ったって、なにかを望むわけでもなかった。


今思えば、あの頃の自分は馬鹿みたいに頑なすぎた。

信じるな。希望を抱くな。期待するな。


そんなの、生きている意味がない。


信じるものがあって進む。希望を抱いて生きる。期待して挑む。

生きることに価値がなくて、目的がなくて、意味がなくて、どう生きるというんだ。



―――それを、最初に教えてくれたのは忍術学園で同じ学年だったみんなだった。

だから、俺は生きる楽しさを見つけた。

みんなと一緒なら、奇跡だって期待するし、夢物語も信じる。


一緒。

ずっと、かわらない。

そう、思ってたし、信じてたんだよ?

だから。



人は一人で生きていくものだって、そう言ったらさみしいけれど、それが本当のことなのかな、と思った。

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