どうやら、あの天女さんは俺のことが好きらしい。(テンプレだと言う声が聞こえた。テンプレってなんだろう。)


…これがただの自意識過剰だったら良いのだけど、本当っぽい。

なにしろその事実を俺に伝えたのは、伊作だから。

伊作は、天女さんに勇気を振り絞って告白したらしい。で、その時の断り文句が、『ごめんなさい。伊作くんの気持ちは嬉しいけど、わたし、鈴代くんのことが好きだから』だそうだ。


…俺と天女さん、どこに接点があったのだろうか。


ただ、初対面の時に当たり障りの無い挨拶をして、それっきりだと思う。

…どこに惚れられる要素があったのだろう。

天女さんを不気味に思ってる身としては、惚れられているなんて聞いても全然嬉しくない。




「…樹」


俺は今呼び出されて、なぜか6年生で会議している。もしかして、"なんでお前が!"みたいな嫉妬を受けるのだろうか。

俺は天女さんには興味の欠片もないので誤解しないでほしい。

そうして、俺が覚悟を固めた時。


「綺羅里さんはお前のことが好きなんだってことは聞いたな」

「悔しいがお前になら、綺羅里さんを任せられる」


は?


「樹だから、身をひいたんだぞ!」

「………幸せに…しろ…」


………は。


「協力、するからな」

「僕達もうまくいくように協力するからね!」


………………。


は、ははははははははは。


こいつら、俺も天女のこと好きだと思ってるんだって。

天女は美しいから、誰もが興味を持つ。好かれないはずがない。そう、思ってるのかな。

だから、天女が望んだように、俺もそう望んでるはずで、天女と俺、くっつけようって?



なに、この茶番。


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