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天女とやらが来たらしい。
詳しくは知らないけど、ある日突然空から降ってきたから"天女"らしい。
天女さんは大層美しくて、まさに天女に相応しい姿、しかもお優しいそうなので、学園の皆はメロメロらしい。
その天女は行くところが無いそうなので、学園は彼女を事務員として雇い、働かせることにした。
以上、俺が天女について聞いたこと。
「天女って…。それ、マジで信じたのかなぁ、皆」
俺がそうぼやくと、一緒に作業していた八左ヱ門(とっても良い子な後輩。皆が嫌がるような仕事でも進んでやってくれる)が答えてくれた。
「さぁ、どうなんでしょうか。本気で信じてなくても、もう呼び名みたいになっちゃってますから」
確かに。天女さん、本当の名前がかすむくらい天女さん天女さん呼ばれてるし。かくいう俺も覚えてない。
「まさか、俺がおつかい行ってる間にこんなことが起こってるとはねぇ。びっくりだよ」
いやはや。びっくりびっくり。
「…先輩、大丈夫ですか?」
後輩の方を見ると、心配そうな表情をしていた。
…後輩に心配させるなんて、先輩失格だなぁ。
「大丈夫だよ。八左ヱ門。ありがとう」
そう言うと、八左ヱ門はちょっと納得してない顔で頷いた。
納得してないというところがひっかかるけど、頷いてくれたのでよしとしよう。
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