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「樹〜!!」
「いさっくん!」
「よかっ、たぁ、樹、ぶじ、っぐす、で。ふ、」
「いさっくん、いさっくん、伊作、私、」
「!! 樹、どう、したの?」
「理由がね、無くなったの」
「りゆ、う?」
「私、元はここの人間だったから。帰ってきたから、もう嘘は無くてもいいの。
私はね、鈴代樹じゃなくなったよ。涼城いつきで、男じや無いし、嘘つきでもない。ただ、鈴代樹の記憶を全部持ってる、涼城いつきにしかすぎないの。
……ごめんね、いさくん」
「なんでもっ、いいよ。樹が居るなら…。君は、間違い無く樹だよ…」
「いさ、くん…」
「樹は、…いつきって呼んだ方が良いよね。
いつきは、僕のこと、嫌い?」
「だいすき。ほんとの本当、偽らない、大好き」
「……僕、いつきに大好きって直接言われたのはじめてだ。
僕も、大好き。
だから、良いよ。それで、良いんだよ。いつき」
「いさっくん…!」
「いつき、死にたい?」
「………私、私は、死にたく、無いよっ……!!」
「そっか」
「お前ら見てて恥ずかしいぞ…」
「留くん!」
「あー…。樹。いや、いつきか。取り敢えず、詳しい事は昼休みな」
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