三
「ねぇ、そういえばなんで樹くんは嘘つきなの?」
樹先輩がいない委員会で、タカ丸さんはいきなりそう言った。
「何言ってるんですかいきなり」
三郎次が少し冷めた目で、タカ丸さんを見る。
「えっと、そういえば一回きいたことあります」
と伊助。
「ホント!?」
「『真実が大好きな妖精さんに僕の真実が食べられちゃったから僕は嘘しかつけなくなったんだ』って」
「僕も聞いたことありますよ」
と三郎次。
「『僕は前世で世界を救う魔道師に息も絶え絶えに嘘つきになる呪いを掛けられてその呪いが今でも僕を蝕んでるんだ。』……らしいですよ」
…これは流れ的に俺も言う場面なのだろうか。
「『くのたまの歯舞ちゃんに嘘しかつけなくなる薬を盛られて解毒剤が見つからないままなんだ。』そう言ってましたね」
もっとも、聞いたのは俺じゃないけれど。
「「そうなんですか!?」」「そうなの?」
…タカ丸さんはわかるとしてなんで伊助と三郎次まで食いつく?
「嘘だよ。樹先輩の言ったことが嘘じゃない時なんてあったか?」
「えっ、嘘なんですか?ありえそうなのに」
「…たしかに、そうでした」
「あれ?嘘なの?」
真実味があることは認めるが、それを言ったのが樹先輩なら話は別だ。
「大体、タカ丸さん。樹先輩が嘘つきでも何でも樹先輩には変わりないでしょう」
「あはは〜。そうなんだけど、何か気になっちゃったから」
「樹せんぱいは、やさしいですよ!!」
「嘘とか気にしててもしょうがないですよ。それよりさっさと仕事してください」
「三郎次くんは手厳しいなぁ〜」
樹先輩、早く戻ってこないかな。
お土産を買ってきてくれると言っていたし、火薬委員で一緒に食べよう。
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