「では、失礼しました」
僕らがどーこー話している間に、委員長の用事は終わったようだった。
ドアを開けて、一礼してから静かに去っていった。うん、丁寧すぎるぐらい丁寧だ。
「………」
無言で佇んでいる先生に、ふと違和感を覚えた。
「…先生?どうか、したんですか?」
声をかけてみても、首を傾げている。
「…いや、気のせいだとは思うんだけど…」
「んだよはっきりしねーな」
藤くんが急かす。
「今、篠先さんから微かに病魔の気配がしたんだ。とても微弱、だったけれど」
病魔、って…。
「オイそれヤベェじゃねえかよ!」
「いやいや本当に微かだったからね。むしろ篠先さんの周りに病魔が居たくらいの…」
「どっちにせよダメじゃね」
こんな時でも冷静な藤くんには恐れ入る。
頼もしくもあるけど、ドライだなとも思う。人それぞれかな。
それにしても、委員長に病魔、なんて。
委員長の心の内、なんて僕じゃあとても、想像なんてできないけれど、病魔につけ込まれるような人じゃない、と思う。偏見かもだけど。
じゃあ、委員長の周りに病魔にかかっている人が…?
どうにも、しっくりこない。
なんだか、嫌な予感。
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