イイハナシカナ-?
「一釣り行こうぜ!」

ドアを開けたら死亡フラグがいた。

この村には死亡フラグというものが生きている限り常に付きまとっているのだが、数ある死亡フラグの中でトップ3ぐらいに入る人物を目の当たりにしてるんだなう。
…よーっし死亡でこの一日終わるな。どんとこい。やってやんよ!

「ふ。決意新たにする私に死角だけがあった」

カポーンという効果音はないけど釣り場に無事に着きました。なぶり殺しにするんですねわかります。

「それにしてもさ、よく俺についてきたよね名前」

「ほ?」

いきなりそう話しかけられたもんだから、変な返事を返してしまったじゃないか。ほってなんだほって。

「いやさ、俺と一緒に行動してたらどんな目にあうかわかりきってるじゃないか」

そりゃもう。周知の事実ですがな。
どしたのいきなり。お腹痛いの?話題がいきなりすぎるよ?

「そんなの、この村の誰しもが知ってるよ」

「そうなんだよなあ。だから、不思議なんだよ。酷い目にあうって分かってて、それでも俺と仲良くしてくれるのはなんでだろうって」

横で釣りをしているランピーをちろりと見る。ランピーは背が高いので見るというか見上げる、になるけれど。
見上げたランピーは、いつも通りの顔だった。

「だって、この村だからね。ランピーを怖がったり嫌がったりするわけないじゃん。いつものことなんだからいちいち気にしてちゃあしょうがないし」

ランピーが居たら黙って覚悟を決めておくのがこの村の住人共通の暗黙の了解。
だって私たち、仲間だもんげ!

「そりゃ、痛いのは嫌だけど。それでもランピーに誘われて着いていくのは、皆ランピーのことが好きだからでしょ」

さっきから全然魚がかからないんだけどなんでだ。私にはそんな才能無いってか。別に漁師とかになるつもりはないので、全然、全く、これっぽっちも気にしてないんですけどね。

「てかさ、自覚あるのに私を釣りに誘うとか性格歪んでるぞキミ」

「はっはっは。いやいやなんのことだかさっぱりだなー」

この箆鹿野郎。ヘラヘラしやがって。

「カドルスとかトゥーシーとか愛しのギグルスたんを嵌めやがって」

「フリッピーあたりをあんま誘わない辺り充分良心的だと思うけどなー」

「それはありがとう」

ランピーとフリッピーが揃ったら真面目にヤバイ。なんやかんやでフリッピーは覚醒して人殺しまくってランピーも間接的に殺しまくるに違いない。村全滅の危機。

「そういえばスプレンディドと一緒に居るとこも見かけないよね」

「ああ、前一回殺されたから」

「…ご愁傷様です」

「めっちゃ痛かった」

あのランピーがちょっと苦い顔で笑うくらいなのだからその酷さ推し量るべし。
(似非)英雄だから仕方ないね。だれかはやくあいつなんとかして。おまえらのヒーローだろ。

「ね?俺はこんなにも優しい」

ヘラ、と笑うランピーに思わず胡乱気な眼差しを向けてしまったのは仕方ないことだと思う。

「うっそだぁ。この前トゥーシーの体バラバラにして売ってたじゃん」

確かランピーが玩具屋だった時だったかな。

「やだな、あれはちょっと金に目が眩んじゃっただけだって」

それが駄目なんじゃないか。

「それに、それを買っていった名前もロクデナシだと思うけど」

「う、…いやだって、だってトゥーシー可愛かっただもん…」

可愛いトゥーシーが悪い!うん。そういうことだね。
トゥーシーの心臓は私が死守しましたが、なにか?

「名前へーんたい」

るっせえ。歩く死亡フラグに言われたくないやい。

この後ランピーの釣竿に獲物がかかって、引っ張りあけだら餌だけもってかれてた釣り針が勢いよく引き上げられた。
思いきり引き上げられた釣り針が何故か私の首に引っ掛かって、外そうと思ったのかランピーは何故か釣竿をまた思いっきり引き、私の首が釣り針によって掻ききられたのは当然の流れだった。つまり、あれだ。お約束ってやつ。






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