…なんだか、いろんな衝撃的なことがありすぎてポカーンだ。正直ついていけない。

えっと、冷静に考えてみるか。

作兵衛と居る時の名前は、ふわふわしている。今、くのたまのと対峙していた名前は、冷たい。

ビフォーアフターで、まるで別人のようだった。

…そういえば、自分は作兵衛の傍に居る名前しか見たことなかった。

今までのが嘘で、今のが素だとしたら。


「あんた、作兵衛に演技してたのか?」


そういう結論になった。

くのたま得意の絡め手で、作兵衛を騙してたとしか。

そうだとしたら、


「馬鹿?」


名前は、冷たく罵倒の言葉を吐き出した。

表情も態度も目も冷えきっていて、ドMの人ならゾクゾクするであろう目。

しかし自分はMではないので、今までとのギャップにおののくだけだった。くのたまこえぇ。


「なんで、あたしが富松くんに演技なんてするの?意味わかんないわ」


相手が言っていることが本気で理解不能な表情だった。

と、いうことは、勘違い?


「作兵衛のこと、好き?」


そう問うと、一般常識を語るように即答した。



「好き。だぁい好き」



富松くん以外、興味なんてないのよ。


そう言って、幸せそうに破顔した名前。

やばい。

胸の奥から込み上げてくる、謎のときめき。

ごめん、作兵衛。


惚れました。






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