３
｢いいよな作兵衛は｣
｢………は？｣
え、今なんてったコイツ。
｢だから、あんな可愛い女の子に追いかけられてて羨ましいなって｣
｢頭大丈夫かてめぇ｣
ついに思考回路まで迷子になってしまったのだろうか。それは嫌だ。
｢ストーカーじゃねぇかただの｣
｢ちょこちょこついてくんの可愛いじゃん｣
｢しかも危険だし｣
｢一途でいんじゃないか？｣
…駄目だコイツはやくなんとかしないと。
｢確かに可愛いよな名前ちゃん！｣
にかー！と笑いながら左門参戦。
コイツらにあいつのデンジャラスさは話したはずなんたが。
もう忘れたのか？
｢お前ら…あいつはな、ほんと危険なんだぞ。いつどこで刃傷沙汰をおこすかわかんねぇんだぞ｣
そう力を込めて言えば、何故かによによ笑い出す三之助と左門。
｢なー？｣
｢なー！｣
によによしながら顔あわせんな。
なんかすげぇイラッとする。気持ちわりぃ。
｢色々言ってるけど作兵衛さ、｣
｢可愛いってこと否定したことないよな！｣
｢と、いうことは、｣
｢作兵衛も、満更じゃないんだよな！｣
瞬間、かぁぁあ、と顔が蒸気する。
いや、んなわけ、いやいやないない！
｢んなわけねぇよ阿呆共!!｣
｢作兵衛が照れたー｣
｢三之助えぇえ!!｣
｢全く作兵衛は恥ずかしがりさんだな！｣
｢左門んんん!!｣
なんだこいつら！なんだこいつら！
｢違うっつの！
これまでのはただあいつに流されてっただけだっつの！｣
俺があいつに対して持ってる感情は恐怖と諦めだけで、あって、そ、そんなの、
｢あるわけねえぇぇえ!!｣
｢うわっ！作兵衛が怒った！｣
｢逃げるぞ左門！｣
｢おう！｣
って、
｢てめえら勝手にうろつくんじゃねぇ!!｣
｢大丈夫左門は迷子にしない！｣
｢照れるな作兵衛！｣
｢お前も迷子だっつのこの無自覚！あと照れてねぇ！｣
あいつらぜってえ後でぶっ潰す!!
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